ラグビー部監督からの助言も参考に。他の部活へのリスペクトが気付きをもたらす
監督になって1年が過ぎ、勝つことの難しさにも直面している。就任1年目の2017年秋は実力のある九国大付を倒し4強入り。九州大会出場まであと1歩のところまで勝ち進んだ。しかし春は5回戦敗退。シード権を得て臨んだ南福岡大会は、準々決勝で沖学園に3-4で敗退。沖学園は優勝候補の東福岡を倒した勢いで、そのまま甲子園初出場をつかみとった。昨秋4強、今夏8強(南福岡)、そして、今秋は16強。福岡は公立校が強い地区でもあり、名門私学のユニホームにも、ひるまず向かってくる進学校も多い。その中で、どうしたら選手たちが力を発揮できるか。心の持ち方、メンタルのコンディショニングが重要だと考えている下野監督は、他競技の監督にもアドバイスを求め、良いものを野球部に取り入れているという。
「ラグビー部の藤田雄一郎監督は『当たり前のことを当たり前にできる選手を育てている』と言っています。6度の全国制覇を成し遂げていても、靴やバックの並べ方にこだわって指導しているんです。競技は違っても、強いチームってそういう所の差だと思いましたね」
野球部とラグビー部は大会中、応援にかけつける仲。他の部へのリスペクトが気付きをもたらす。これも東福岡の強みの一つだ。
甲子園は2007年夏から11年遠ざかっている。今の時代のチームカラーを聞くと、下野監督は少し間をおいて「色は虹色ですかね」と言った。「ヒガシだからこう、と押し付けるのではなく、僕が選手の色に合わせた指導をしていかなければいけない。代が代われば選手が変わり、チームカラーが変わる。僕が柔軟な指導をしていかなければいけません」
指導は虹色。今の時代に合わせた、何色にも変われる指導力で東福岡の新時代を築く下野監督。
「名門復活? いや『新生』ですね」。選手時代に見せた負けん気をのぞかせ、きっぱりと言い切った。(取材・写真:樫本ゆき)
東福岡野球部
1955年(昭和30)創立・創部。甲子園出場6回(春2、夏4)。部員数=2年34人、1年35人。女子マネージャー=0人。永山大輔部長、下野輝章監督、伊藤広副部長。スローガン=自主・自立。主なOB=村田修一(元横浜、巨人)、大野隆治(元ソフトバンク)、田中賢介(日本ハム)、吉村裕基(元ソフトバンク)、森雄大(楽天)ほか。所在地=福岡県福岡市博多区東比恵2―24―1。http://www.higashifukuoka.ed.jp/監督PROFILE
下野輝章(しもの・てるあき)1983年(昭58)8月22日生まれ。福岡県北九州市出身。浅川中(軟式)から東福岡に入学。1年夏に甲子園出場。2年秋にエースで九州大会優勝、神宮大会優勝。3年春のセンバツで3試合連続本塁打(大会記録タイ)などの活躍で8強入り。日体大へ進み3年秋にベストナイン(投手)、神宮大会4強。日本生命でも投手を務め6年間で全ての都市対抗(6回)、選手権出場(6回)を果たす。28歳で引退したのち社業専念を経て、2011年4月から母校の副部長に就任。2017年6月より監督に。家族構成は妻、1男。保健体育科教諭。O型。
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