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【京都成章】私生活をちゃんとすることで野球の技術が上がる

2018.5.15

松井常夫監督の京都成章での指導歴は30年にも及ぶ。部長としては夏の甲子園準優勝を経験し、監督としても春夏共に甲子園の土を踏んだ。私学強豪校の一角でありながらグラウンドが使えるのは週2回という環境の中、どのような指導を行っているのだろうか。


春夏通算5度の甲子園出場経験があり、最高成績は夏の甲子園準優勝。ただ実は輝かしい実績とは裏腹に、京都成章はほとんどの部員が軟式出身。中学時代にボーイズに所属していたのは3割程度。グラウンドは全国クラスの強豪であるラグビー部や女子ソフトボール部と共用であるため野球部が平日に使えるのは週2、3回だけ。グラウンドが使えない日はウエイトやサーキットトレーニング、素振りを中心に行い、これからの時期はアジリティーや体幹トレーニングが多くなるという。

「うちが勝とうと思ったら技術の前に野球について勉強して体を鍛えないと。中学の時、技術的に勝てなかった選手でも高校になったら体が変わってくるから体力を鍛えることによってパフォーマンスを上げようというのはテーマにしてやってます」と松井常夫監督。夏場でもトレーニングしかできない日が多くあるため、京都成章の選手が試合中に足をつることなどはまずないという。




OBコーチが多いのも京都成章の特徴の1つ。生命保険会社に勤めるOBや市バスの運転手、整体師が頻繁にグラウンドを訪れ、合宿やミーティングでたびたび社会人目線からの話をしてくれる。他にも外部からのサポートとしては選手が栄養セミナーなどの講習を受講し、トレーナーは週1回、整体の先生も2週間に1回選手の状態をチェックする。2年前からは『本気の朝礼』で一躍脚光浴びた居酒屋てっぺんを設立し現在はメンタルコーチを務める大嶋啓介氏の指導を受けている。甲子園出場を果たした昨夏は大嶋氏のアドバイスによりこんな新たな試みがあった。

3年生の選手は親への感謝の手紙を書き、開会式の後に保護者の前で読んで渡す。もちろん選手も親も大号泣だ。そして今度は保護者に我が子へ向けたメッセージを書いてもらい、松井監督が預かって試合の前の日に選手に渡す。松井監督も3年生一人一人にメッセージを書いた。
「(能力的に)何か変わったっていう事はないんですけど、選手たちの一つ一つの動きとか違ってくるんですね。びっくりしました」

初戦で2桁得点を上げ快勝すると、3回戦では過去何度も苦杯をなめさせられた京都外大西を1点差で撃破。準決勝では春準優勝の綾部を破り決勝戦へ駒を進めた。甲子園行きを懸けた大一番、相手は優勝候補筆頭の龍谷大平安で、京都成章のエース・北山亘基は前日に完投したばかり。決して有利とは言えない状況の中、松井監督と大嶋氏との間でこんなやり取りがあった。

「相手、(龍谷大)平安やぞ。今日、どう戦おう?」
「先生、勝てますよ。5回までノーサインというのはどうですか?」
「無理やろ、そんなん決勝で」
「3回ならどうですか?」
「3回って。そんなチャンスもないやろけど」
「じゃあ、ホームランとかフルスイングのサインを作ってくださいよ」
「それは出来るわ」

どんなサインにしようか、思いを巡らしていた時、目に飛び込んできたのはメガホンだった。2010年秋の近畿大会で「心で勝て」と書かれたメガホンを手に戦った時、選手が躍動し翌年の選抜出場を勝ち取ったことがあった。準決勝に勝利した後、当時マネージャーをしていたOBからの電話で松井監督はそのことを思い出しており、すぐに腹は決まった。メガホンを振ったらフルスイングのサイン。


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