強豪ひしめく神奈川でも常に上位に進出している日大藤沢。甲子園出場は2007年春以来遠ざかっているが、近年も牧原巧太(2020年ソフトバンク3位)、柳沢大空(2021年楽天育成2位)、田上優弥(2023年巨人育成4位)とたて続けにプロへ選手を輩出している。そんな日大藤沢を長年指導する山本秀明監督に、今年ドラフト候補として注目を集めている半田南十選手の特長や、過去にプロに進んだ選手は何が違ったなどかを聞いた。
高校で伸びたのは守備
入学直後からレギュラーとして活躍している半田選手。昨年夏の準々決勝では東海大相模の藤田琉生投手(2024年日本ハム2位)からもヒットを放ち、強打のショートとして注目を集めている。そんな半田選手の持ち味を山本監督はどう見ているのだろうか。「1年夏からレギュラーで使っていますが、1年生が夏に一桁の背番号をつけたのは西武に行った金子(一輝・2013年西武4位)以来だと思います。技術的に優れている点は打撃ですね。入ってきた時から高校生レベルとしては十分高いものを持っていました。そこから伸ばせたかはちょっと疑問ですが、逆に言えばそれくらいの技術を持っていたと思います。最初はスイッチヒッターだったのを、高校で左打席に集中させたということもあって、最初は左投手を苦にしていましたが、それもしっかり克服しました。守備に関しては入ってきた時はまだまだで、こちらもかなりしつこく指摘したりしたので、むしろ伸びたのは守備かもしれませんね」
半田本人も、左打席で左投手のボールを見た経験がなかったことから最初は戸惑う部分もあったそうだが、現在では高いレベルの左投手に対しても対応している。そして山本監督が技術面以外で評価しているのが野球に対する取り組みだという。
「うちは全員自宅から通いなので、食事面などはどうしても家庭にお願いするしかなく、そこまで管理することはできません。そういう事情もあってフィジカル面はそこまでこちらから言うことはありませんでしたが、定期的に行っている筋力測定でも下級生の頃から相当高い数字を出していました。見た目の体つきは大きくありませんが、筋肉量も増えていますし、バランスも良いです。そういうのを見ても、自分でやるべきことはしっかりやっているのだと思います」

冒頭でも紹介したように日大藤沢からは2020年以降に3人の選手がプロ入りしているが、彼らがプロ入りした理由と、彼らと半田の比較についてはこう話す。
「牧原と柳沢は高校に入ってきた時点でプロに行くと思っていた人はいなかったと思います。逆に田上は小学校、中学校時代から能力の高さがありましたから、私は支配下でプロ入りできなかったことを本人と親御さんに謝りました。彼らに共通していたのは体の強さですね。特に牧原と柳沢はいくら練習しても怪我することがありませんでした。プロに行って怪我に苦しんでいるのを見ると、やはりプロは練習の量や質が違うのかなと思っています。半田も怪我をしないという点では共通していますが、そこまで追い込めているという感じではないです。そのあたりは少し不安はありますね」