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【東福岡】強豪復活を託された下野監督、目指すのは「再建ではなく新生」

2018.11.1

「文武両道の男子進学校」として、県下有数のマンモス校で知られる東福岡。JR博多駅から徒歩15分という立地と、「男子校」という特色。全国クラスの運動部を支える恵まれた部活環境を持つスポーツの名門校だ。史上初の3冠達成したサッカー部や、10年で6度の全国制覇を誇るラグビー部、全国優勝経験のあるボクシング部やバレー部の活躍は全国であまりにも有名で、近年はどちらかといえば「冬の」スポーツが隆盛を見せている。そして、サッカーやラグビー部が全国上位に進めば進むほど「野球部はどうしているの?」という声が高まり、甲子園出場への期待が増しているのが現状だ。
中・高一貫の男子進学校として人気の東福岡。建学の精神は「努力に勝る天才なし。意志あるところに道あり」

「1年やってみて、だいぶ慣れました」

と話すのは、2017年6月に監督就任したOBの下野輝章監督(35)だ。選手時代は1年夏に甲子園マウンドを経験し、高2秋はエースで神宮大会優勝。センバツでは部で最高の2勝(広陵、日大三)を挙げ8強入り。9番打者ながら、3試合連続本塁打の大会タイ記録を持っている。卒業後、日体大、日本生命で投手として活躍し、全国大会を多く経験。選手として輝かしい功績を持っており、37年間指揮を執った恩師・葛谷修前監督からバトンを渡されて再建を託された。

2017年6月に就任したOBで2001年センバツ8強エースの下野輝章監督

「僕がヒガシに入学したときは2学年上に夏の福岡大会2連覇した賢介さん(田中、日本ハム)がいて、常勝軍団と言われていた時代。甲子園に行くのが当たり前で、甲子園は『行くところ』ではなく『勝つところ』だと思っていました。選手一人一人の意識が高く、自分の役割りがしっかりわかっていた。大人のチームと言った感じでしたね」

130校以上が参加する福岡大会。過去30年で、連覇を果たしているのは東福岡(98、99年)と、九国大付(14~16年)だけしかない。群雄割拠の福岡で「勝つのが当たり前」と言われていたヒガシの黄金時代。その中にいたのが下野監督だった。「始発の電車でグラウンドに行って帰宅は22時過ぎ。記憶にないくらい必死だったし、ガムシャラでした」とふり返る。

そんな経験を土台としながら、今の時代の選手には等身大で向き合うことを忘れない。能力の低い選手にもわかりやすく。日々の指導は試行錯誤の連続だ。

「いまの2年生が2001年生まれ。僕らがセンバツに出た年です。今の子たちに『ヒガシは強かったんだよ』と言ってもピンとこないのは当然です。選手たちに聞くと甲子園は『行きたい場所』。『全国制覇したいです』と言っていた僕らの時代とは違うのです。勝つことは大事ですが、僕らが目指していたものと同じものを求めすぎてはいけない。基本の徹底。そこから根気よく教えています」

野球部のモットーは「自主自立」。社会に通用する「自分で考える力」を身に付ける


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