今春の東京都大会決勝では日大三に惜しくも敗れたるが、二松学舎大附、東海大菅生と昨夏の甲子園出場校を次々と倒し、15年ぶりに関東大会出場を決めた国士舘。強豪ひしめく西東京を制し、2005年以来となる夏の甲子園出場を目指すチームを取材した。
冬の打撃練習が実を結んだ春
東京都世田谷区の校舎から少し離れた「国士舘大学多摩キャンパス」に野球部のグラウンドがある。選手たちは授業が終わると約1時間半をかけて電車と自転車で移動する。部員数は3学年合わせて100人を超える大所帯チームだ。今春の東京都大会では準優勝を飾り、通算6度目の関東大会出場を果たした。指揮を執る永田昌弘監督は同校を1983年-2005年まで春7回、夏1回甲子園に導き、その後、国士舘大学硬式野球部で9年間監督を務め、2016年秋に再び同校に戻ってきた。今春の都大会準優勝は二度目の就任以降、最高の成績だ。
「春の都大会は『夏の大会のために1試合でも多く、明治神宮球場で試合を経験しよう!』と選手たちに話していました。優勝という目標を掲げましたが、今思うと決勝戦に進出した時点で選手たちが少し満足していたような気がします。そこからチームの調子は落ち、都大会決勝、関東大会(初戦で木更津総合に10-2で敗戦)と本来の力を全く発揮できませんでしたね。でも、同地区の東海大菅生に勝てたことは選手たちにとって自信になったことには間違いないと思います」。
東海大菅生戦は9対6で勝ち、昨夏の甲子園出場校を相手に打撃戦で勝てたことが大きかったと永田監督は続ける。
「昨秋の準決勝で佼成学園と戦った時は、チャンスの場面であと一本が打てなくて負けてしまったんです。なので、冬場は『バットを強く振る』をテーマに打撃力向上を目指し、とにかく振りこみました。例年なら守備や走塁を中心としたゲームノックに多くの時間を割くのですが、今シーズンのオフはバッティング練習ばかりやっていましたね。その成果もあって、例えば相手投手の変化球で上体を崩されてしまっても、片手一本で外野まで運べるような強い打球が打てるようになりました。チーム打率も昨秋に比べ1割近く上がりましたね」。