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【県岐阜商】ノーステップ打法も健在、鍛治舍監督「勝利の方程式は変えない」

2018.4.9

振る力をつける

前編(【県岐阜商】鍛治舍監督「伝統校だからといって、時代に乗り遅れてはいけない」)で触れたとおり、県岐阜商ナインには今、パワーとスピードが植え付けられようとしている。

打力向上のため、パワー、振る力をつけていく。1日1000スイングを最低ラインと定めた。フリー打撃では、マシンは本塁から14メートル、打撃投手は12メートルの距離に配置。この距離でマシンの140キロも打つ。実戦形式の打撃でも、投本間は1.5メートル縮める。打者は体重を後ろに残し、軸で打つ。手先では打たない。

県岐阜商でも続けている3種類のティー打撃

秀岳館で行っていた3種類のティー打撃は県岐阜商でも続けている。「スクワットティー」、「インハイの球のティー」、「アウトローの球のティー」だ。フリー打撃と同時進行で順番に回っていく。3月後半からは、1000グラムの木製バットを用いている。

スクワットティーは、後述する「ノーステップ打法」の礎となる。ノーステップ打法でのトップ(振り始め)の形をしっかりとつくるためだ。スクワットして立ちあがったとき、重心を9対1の割合で後ろ側の足に置くのがコツ。インハイの球のティーは、球を腰ではね返す意識をもち、ワンバウンドで内野手の頭を越える強い打球を打つつもりで振る。

アウトローの球のティーは、センターへ糸を引くライナーを打つイメージだ。最も技術がいるとされるセンター返しを繰り返すことで、逆方向への打撃も身につくという。

甲子園を席巻した「ノーステップ打法」は健在だ。「勝利の方程式は変えない」と鍛治舍監督は言い切る。2ストライクまではフルスイングするが、追い込まれてからは三振を避ける。バットを短く持ち、9対1の後ろ重心で、打席の一番後ろでホームベースにかぶさるように構える。体にブレがないノーステップでスイングし、逆方向を狙う。

投手は球速10キロ以上のアップが目標だ。「最大のテーマはマックスの球速を上げること。同時にアベレージも上がっていく。楽なほうに逃げてはダメ」と指揮官は言い、”キレ”や”ノビ”などのあいまいな表現はしない。ただ一気には球速は上がらないから、”緩急”からさらに具体的に踏み込んだ、球種間の球速差を意識させる。その方法は多くは明かされなかったが、歩幅を変えるなど、方法はあるようだ。

フィジカル面は、学校にある筋トレ室で随時鍛えている。筋トレは「特にピッチャーなんかはしょっちゅうやっている」状況だという。年3回、業者による測定を受けて強化を図る。

最後に、キャプテンの宮嶋選手に話を聞いた。

キャプテン・インタビュー/宮嶋秀輔主将(3年)

Q.鍛治舍監督就任後、練習はどうですか?

「ゲーム形式の練習が毎日メニューにあり、プレーする中で覚えていくことが多いです。バットを振る量も、今までの倍以上の1日1000スイングに増えました。強く打って遠くへ飛ばすという意識を打席でもっています。守備では、外野手が返球をカット(中継)に頼っていたのを、一人で投げてアウトにするという考えに変わりました」

Q.現時点での手ごたえはどうですか?

「振る力がつき、打球の飛距離や強さが変わりました。アップの『手押し車』も最初はしんどかったですが、少しずつできるようになっています。精神面では、『やろうと思わなければできない』と教わり、『ホームランを打つんだ、上にいくんだ』という志を強く抱くようになりました」

Q.「ノーステップ打法」には順応できましたか?

「打法に対するイメージと、実際に監督に教えてもらったものでは、多少異なっていました。打席でベース側のギリギリまで寄り、一番後ろに立つことが徹底されていました」

Q.この春、そして夏へ向けて意気込みをお願いします。

「県岐商は変わったな、と思ってもらえる結果を残したいです」

【前編】鍛治舍監督「伝統校だからといって、時代に乗り遅れてはいけない」

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