学校・チーム

【彦根東】「ないことを嘆くのではなく、あるものを探す」(村中監督)

2018.7.3

“春夏”よりも“夏春”の方が連続出場は難しいとされる甲子園にチーム初となる2季連続出場し、いずれも1勝を挙げた。その“偉業”に関して村中隆之監督に質問すると、即答で「たまたまですよ」という答えが返ってきた。そして、こう続けた。
「(前チームからマウンド経験がある)エースの増居(翔太)が残ったことは大きいと思います」。

選抜大会では快投を見せたがその後に調子を崩したというエースの増居翔太

 昨春の近畿大会の準決勝の大阪桐蔭戦で、逆転は許したものの3番手投手としてマウンドに立ち、キレのある変化球を武器に並みいる強打者に立ち向かった快投を披露して以降、近畿圏では「彦根東の増居はなかなか打てない」という評判が広がっていた。その後、夏の甲子園に出場し、開幕戦となった波佐見(長崎)との初戦では苦しみながらも5失点完投勝ち。今春のセンバツでは慶応(神奈川)を相手に5安打3失点完投し、次戦の花巻東戦では敗れはしたが9回を無安打に抑える好投を見せ「今大会ナンバーワン左腕」と呼ばれるまでに成長した。

 だが、増居は帰郷後調子を落とした。「投げ方を忘れていたというか、球が変化しなくなったというか…。県大会が始まっても調子が上がらず、この春はどうなるかな…と心配していたら案の定、増居で負けてしまって(準々決勝の綾羽戦に先発し0−4で敗戦。夏はノーシード)。
去年の夏の甲子園後もそうだったんです。秋の近畿大会も決して調子は良くなかったんですよ。人間なので、良い時が続かないのは当たり前のこと。疲れもあります。でも6月の半ばになって良くはなってきました。練習試合でも良いボールは増えてきています」。

「ないことを嘆くのではなく、あるものを探すんです」と話してくれた村中隆之監督

 この春の県大会では正二塁手でセンバツの慶応戦で4打数3安打だった朝日晴人がマウンドに立つなど、投げられる能力があればどんどん投手起用した。反対にエースの増居や控え投手の原功征はファーストを練習中だ。現在正捕手を務める高内希も昨夏までは控え投手で、新チームになってから捕手に転向した。戦力が限られる県立高のため様々なポジションをこなせるよう準備を重ねているが、ピースのないパズルを探して完成させている訳ではない。

「ないことを嘆くのではなく、あるものを探すんです。このチームになってからピッチャーがいないとかキャッチャーがいないとか、ないないばかり言っていては悲観的になってしまう。過去に外野手がいない学年があって、ピッチャーをやっている選手の中でひとりの選手を見て“ここにいるな”みたいな感じで、自分のチーム内に何があるのかを探すんです。このチームもセンバツの時点ではその形が何とかできてレギュラーが決まったのですが、今はセンバツをベースにしてメンバーが少し変わりました。それは“何か”を探した結果。うまいかどうかは別として、夏の大会を戦うにあたり、この子をどうしてもこんな風に使いたいとか、色んなフォーメーションを今も探しています。1年生も起用することもあるでしょうね」。

現在正捕手を務める高内希も昨夏までは控え投手だった


 練習前に監督自ら練習メニューを記す“練習のお品書き”に「ツメ89」という文字が書かれている。「ツメ将棋と一緒で、野球も8回や9回に何かが起こることが多いでしょう」と指揮官。今の時期は夏に向けたツメの時期になり、実戦練習での声にも力がこもる。
「秋は監督の言いなりになってやっているだけでしたけれど、春の大会が終わってようやく少しずつ自分たちでやれるようになってきた。だから夏はやってくれると思います」。
 3季連続の甲子園出場という偉業もかかる今夏。彦根東ナインは創意と考える力を養いながら100回目の夏を睨んでいる。

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