選手たちが楽しいと思えるよう
コミュニケーションは野球日記でも行われる。その日記の中で、選手の性格を把握し、日々どんな思いで練習に打ち込んでいるのか、態度はこうでも本音はどうなのか。選手1人1人の心の内をしっかりと把握している。中には文章を書くことそのものが苦手な選手もいれば、思いをちゃんとぶつけてくる選手もいる。この日に厳しいことを言った選手は、どんな受け止め方をしているのだろうか、と気になることもある。
「あの時、こんなこと言うたけれど、良かったのかな…と考え込むこともありますよ。それでも一生懸命になる子もいますから、こちらが折れてやらないといけないこともあるのかなと。でも、言うことは言わないといけないですからね。ただ、全体としてどういう雰囲気で練習するのが一番良いのか考えていた時、日記の中で“自分たちはもっと元気さが必要”って書いている子がいて、“ああ、そういうことか”と思ったんです。元気に野球をするには、やはり彼らが楽しいと思えるようにしないといけないって。根本的なところから変えていかないと、元気なんて出る訳がない」。
選手らは3時過ぎに授業を終えるとグラウンド横にある寮で制服から練習着に着替え、続々とグラウンドに集まる。監督を中心にミーティングが始まり、ランニングが始まった。この日は文化祭のため、朝練でバッティング練習を行ったため、午後の練習はノックのみだった。だが、威勢のいい声と共に、元気良く白球に飛びつくナインの姿が頼もしい。
普段は、練習の合間やバッティング練習の際に、順番を待つ選手らに監督が近づき、身振り手振りの指導をする傍ら、冗談を飛ばしたり、監督の言う“選手イジリ”をすることも。ほとんどの選手は笑顔で受け流したり軽く反応するが、どう反応すればいいのか戸惑う選手もいる。それでも指揮官が作る独特の空気の中で次第に慣れていき、心を通わせられるようになっていく。厳しい練習後でも、監督の一声で笑顔をこぼす選手が多いのもこの影響だ。(取材・写真:沢井史)
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