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【球速アップ講座】彼らが速いボールを投げられる理由|根尾昂(大阪桐蔭)、西純矢(創志学園)編

2018.9.26

Timely!WEBの大人気企画、『球速アップ講座』でお馴染みの相原雅也さんに甲子園で活躍した投手について解説していただく企画。前編の吉田輝星投手(金足農)はその下半身の強さ、安定感がポイントとのお話でしたが、後編では二刀流でも話題の根尾昂投手(大阪桐蔭)、2年生ながら初戦で16奪三振の快投を見せた西純矢投手(創志学園)について解説していただきました。


根尾投手と西投手は同じタイプ!


『球速アップ講座』でおなじみの相原雅也さんに今回は根尾昂(大阪桐蔭)、西純矢(創志学園)の両選手の投球フォームについて解説していただきました。

――今回は吉田投手の他に根尾投手、西投手のフォームも見ていただきましたが、この二人は吉田投手とは違う特長がありますか?
「今回の三人について言うと根尾投手と西投手は大きい分類で言うと同じタイプになると思います。そして吉田投手とは特徴が異なります。
速いボールを投げる三つのポイントで言うと吉田投手は『腰の落とし方』の前への移動がポイントでしたが、根尾投手と西投手は『回転軸の作り方』に特徴があると思います。より分かりやすいのは根尾投手だと思いますのでそのフォームを参考に解説しますが、簡単に言うと左足をついて鋭く体を回転させたときに全体が回りきらずにしっかり止まっているんですね。吉田投手のように左足を着地してから移動するのではなく、左足を上げてそのまま重心を下げずに一気に着地する。この時に勢いを殺さずにピタッと止められているところがポイントです。
吉田投手は腰を落としたまま移動できる強さがあると言いましたが、根尾投手や西投手は逆に着地で止まる強さがある。あと体が流れずに止められるという部分では体幹の強さがあると言えると思います」


左足を上げてそのまま重心を下げず、勢いを殺さずに一気に着地してピタッと止められる。これが根尾投手のポイント。

――なんとなく吉田投手の方が昔ながらの日本人のピッチャーの理想で、根尾投手や西投手は最近のピッチャーの投げ方という印象ですね。
「その通りだと思います。しっかり腰を落として、自分の下半身の力を使って投げる吉田投手のようなフォームが昔は多かったですよね。マウンドの硬さの問題もあると思いますが、根尾投手のようなフォームは外国人選手に比較的多い。日本人でもメジャーで長く活躍した上原浩治投手(巨人)も根尾投手のタイプですね。この投げ方だと腰を落とさずに前に移動するので、高い位置エネルギーが使えるんですよね。そういう意味では自然の力を使っているので効率が良いとも言えると思います。根尾投手は特にそういう効率的な体の使い方が上手いですよね」

 
――吉田投手は着地した時の右膝の向きが少し気になるというお話がありましたが、根尾投手と西投手で気になるポイントはありますか?
「根尾投手の場合は着地した時の腕の位置とリズムですね。これが崩れると負担がかかってくる。リズムよくスムーズに鋭く回転して、体を残すことができるかがポイントになってきます。
西投手の場合はまだ2年生ということもありますが、着地した時に少し踵の方に体が落ちてしまって、そこから上半身の力で無理に腕を前に持っていこうとして、バランスが崩れる時がある。グラブを持つ左手で早く回そうとして、体重も後ろに残ってしまう。それがなくなればもっと良くなると思いますね」」


――同じ練習、トレーニングでもポイントを意識することが重要だというお話もありましたが、この二つのタイプで意識するポイントはどう変わってきますか?
「例えばジャンプをするようなトレーニングの場合、吉田投手のようなタイプだとどう飛ぶかというところになりますが、根尾投手や西投手の場合は着地を意識することで止まる強さが出てくるというのはあると思います。止まっているものを動かす、動いているものを止めるという違いのイメージですね」

吉田投手と根尾投手、西投手の投げ方の違いをジャンプトレーニングを例に解説(詳細はページ下部の動画をご確認ください)。

――昔からピッチャーは走ることが重要だとよく言われますが、相原さんから見て走ることの意味合いはどのようなところにありますか?
「個人的に走る練習は精神的な意味合いが強いと思ってやっていました。もちろん体のバランスが良くなるということはありますが、ただ走っただけでピッチングが良くなるわけではありません。走る練習をするのであれば、ちゃんと走る専門家に走り方を教わって、どの部分が重要かを学びながら走ったほうがいいですね」

 
――速いボールを投げたいという高校球児は多いと思いますが、最後のそのような球児たちに伝えたいことがあればお願いします。
「よく『どのピッチャーのフォームが良いですか?』と聞かれることがありますが、前にも話したようにその人の体の大きさ、筋力によって異なると思います。だから答えるときはプロで長く活躍している選手で、自分の体形やフォームが似ている選手を参考にしてくださいと言うようにしています。吉田投手であれば涌井投手(ロッテ)、武田久投手(元日本ハム)などが参考になると思いますね。
あとは練習の目的をはっきりさせること。『今何のために練習をしているの?』と聞かれたときに意外に答えられない選手が多いです。練習、トレーニングはこなすものにしては意味がありません。日々その練習の目的を明確にして取り組んでもらいたいですね」
 
非常に参考になる解説とお話でした。相原さん、お忙しいところありがとうございました!



前編の吉田輝星投手(金足農業)編はこちら


▼球速アップアドバイザー 兼ホグレル硬式野球部監督 相原雅也
http://www.hogrel.com/hogrel/baseball.html
▼ホグレル硬式野球部
http://ameblo.jp/yoannahogrel/entry-12230520276.html
(取材:西尾典文、写真:編集部)

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