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【元高校球児からのエール】澤井芳信さん(京都成章OB)

2018.7.25

元高校球児が語る高校野球の思い出、そして現役球児たちへのエール。今日は高3の春夏甲子園に出場し、夏は横浜高校と決勝を戦った澤井芳信さん。球史に残る松坂大輔(中日)との戦いは、ノーヒットノーランで敗戦という悔しい結果に終わりました。しかし高校時代の厳しい練習の中から「後悔しない準備と決断」を学べた澤井さん。20年後も生きている高校野球の意義を高校生たちに送ります。



澤井芳信さん(京都成章OB)

(京都成章:1998年春、夏、甲子園出場)

後悔しないように取り組んでほしい。
その決断をするために、努力をして欲しい



僕らの代の京都成章をひとことで言い表すなら「名もなき軍団」。特待生もおらず、全員が一般受験で入学した無名の軍団でした。入学時に僕が「みんなで甲子園に行こうな!」って言ったら「コイツ何いっとんねん」って顔をされましたけど、全員が同じ目標に向かって努力できる、本当にいい仲間たちでした。

当時の成章は文武両道の新鋭校。グラウンドは共用で、使えない日はラグビー部の横でティー打撃をしているような練習でした。そんな学校が名門の京都西や平安などに勝つにはどうしたらいいか。同じやり方をしていたら勝てないので、当時まだ周知されていなかった体幹トレーニングや、メンタルトレーニングを取り入れて練習をしていました。お昼休みは体操服でティー打撃をしていたのも覚えています。練習は当然、きつかったです。僕らは「やり込まないと勝てない」と思っていましたから。そこを選手が理解して、目標に向かって努力することができたから、甲子園準優勝という結果につながったのだと思います。

当時の自分に言いたいことは「今取り組んでいることは、間違ってないぞ」ということですね。あと「ピンチになったら意識を“下”に落とせ」ですね。夏の甲子園の初戦(対仙台)で凄く緊張して、僕らは9回裏に連打とミスで7点差から3点差まで追い上げられたんです。そのときに「意識が頭にいったら上半身が硬くなる。息を吐いて背筋を伸ばして屈伸をして、意識を下に落とせ!」って声をかけたら、気持ちを落ち着かせられました。今の高校生も、冷静さを失いそうになったときは参考にしてみてください。

高校野球をしている選手たちにメッセージを送るなら、ちょっと言い方が難しいのですが「後悔しないように取り組んでほしい。その決断をするために、努力をして欲しい」です。「準備と決断」。それは社会に出てからも生かされます。何かの「決断」をするときに、それまでの努力や準備を生かす選手になってほしい。元高校球児として、そう強く願います。(取材・撮影/樫本ゆき)



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