元高校球児が語る高校野球の思い出、そして現役球児たちへのエール。最後に登場していただいたのは、松坂大輔擁する横浜高校のメンバーとして、1998年春夏全国制覇を果たした常盤良太さん。この代は神宮大会、秋の国体でも優勝し、高校野球4冠、公式戦無敗という輝かしい成績を残しました。「スター軍団」と呼ばれた当時のチームはどんなチームだったのでしょうか? 思い出をふり返るとともに、苦労を味わったからこそ言える球児へのエールを語っていただきました。
常盤良太さん(横浜高校OB)
勝って見える世界がある
松坂大輔擁する横浜高校のメンバーとして、1998年春夏全国制覇を果たした常盤さん。この代は神宮大会、秋の国体でも優勝し、高校野球4冠、公式戦無敗という輝かしい成績を残しました。「スター軍団」と呼ばれた当時のチームはどんなチームだったのでしょうか? 思い出をふり返るとともに、苦労を味わったからこそ言える球児へのエールを語っていただきました。
高校野球の思い出は「無敗で終わったこと」。これ以上の思い出はありません。僕らの代は新チーム結成から、公式戦で1敗もしませんでした。神宮大会、センバツ、選手権、国体で4冠です。でも、やっている時は「○連勝だ」とか「負けてない」なんて言葉は一切出ず、目の前の試合にただ勝つことだけを考えていたチームでした。それくらい意識の高いチームだったのだと思います。
当時「スター軍団」と言われても、正直ピンとこないというか、違うなと思っていました。なぜかというと、もっとすごい歴代の先輩たちを見ていたからです。ただ、僕らが強かったのは「仲良しこよし」の集団じゃなかったから。普段、教室では仲がいいですけどグラウンドに入ったら意見を言い合い、自分のレベルを上げるために集中して練習をしていました。チームが勝つための一人一人の役割りがハッキリしていたので、そこに向かって練習をしていた。「大人のチーム」だったように思います。
僕はセンバツで2ケタ背番号になり、悔しい思いをしたので、そこから覚悟を決めてバットを振りました。自分で納得するまで練習して夏を迎えたので、背番号5を取り返したときは嬉しかったし、夏の神奈川大会準決勝と、甲子園のPL戦(準々決勝)でホームランを打てたことは、子供のころからの夢を実現させた、最高の思い出となりました。勝ったことよりも、そこまで努力した課程が大事なんだと強く感じました。
高校球児に言いたいのは、勝つことだけがすべてじゃないけど、勝って見える世界があるということ。僕自身も「勝った」あの夏があったから、人のつながりに恵まれましたし、いま仕事に生かせていることがたくさんあります。どうか「勝つ」ことにこだわって野球に打ち込んでください。(取材・樫本ゆき)
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