バッティングピッチャーで投手力を育成

強力な投手陣を作り上げた練習について永田監督に聞くと、投球練習はブルペンでは行わず、バッティングピッチャーをしながら鍛えているという。
「ブルペンでの投球練習は基本的に試合前日の調整の時に行うのみで、ほとんどがバッティングピッチャーとして一人25分間投げさせています。だいたい120球くらい投げる計算です。ブルペンで投げ込みを行うと、ストライクかボールかを見極める単純な練習になりがちですが、バッターと対峙することでどんなボールに手を出すのか、どの高さから変化球を落とせば振ってくるのかと、打者心理とボールのキレを確認できるメリットがあります」。
投手陣の一人である草薙は「新しく試してみたい変化球がある時はブルペンだけだと通用するのかわからないので、この練習だとバッターの反応を見て確認することができます」と話す。ストレートと変化球を交えて投げることで、バッターもより実戦を意識したバッティング練習ができる。
また、投手陣の登板間隔に関してはノースローの日を設けながら、試合に向けて調整している。「三日投げて一日ノースローというローテーションで投手陣は練習しています。試合が控えている時は試合の二日前をノースローにして、試合前日にブルペンで50球くらい投げて調整させています。前日ノースローという調整方法を試してみたこともあったのですが、ウチの投手陣には合わなかったみたいですね」。
ノースローの日は肩回しの体操などをして、ケアを徹底。走り込みは決まったメニューがなく、選手各自に任せているという。投手陣に走り込みについて話を聞くと「ブルペンで15球投げてから、グラウンドを1周。これを10セット走っています。試合でランナーに出た後、すぐマウンドで投げられるように実戦を意識しています」(石井)、「関東大会を戦ってレベルの差を痛感しました。投手陣でミーティングをして、スタミナ強化と下半身強化を目的に夏までにとことん走り込みをしようと決めました。ライトポールからスタートしてセンター後方のフェンスにタッチして戻ってくるという練習を1日20本走っています」(井田)と話してくれた。
取材当日も練習後、黙々と外野を走る投手陣。春の敗戦を糧にして夏へと挑む。(取材・撮影:児島由亮)
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