自分で考えて、創意工夫をして、行動に移す
チームではセクション(バッテリー、内野手、外野手など)ごとにいる学生コーチが主導となり、選手ひとりひとりと面談を実施。そこで、方向性をしっかりと定めるようにしている。
「理想はオーダーメイドです。選手ひとりひとりが、自分の課題やテーマに合った練習をしていく。ただ、人数や練習スペースの問題で、現実的には難しいところがあります。今は大まかなメニューの中で、個々の課題に取り組むようにしています」
たとえば、ノック。逆シングルが苦手であれば、ノックの中で逆シングルを重点的に練習する。同じノックであっても、何を課題にするかによって、その意味合いが変わってくる。
「漠然と練習に取り組むことほど、無駄なことはありませんから」
選手の考えを引き出すために、「今のプレーはどういう考えでやったの?」と、質問を投げかけることが多い。「ハイ!」という威勢のいい返事は、一切期待していないし、要求もしていない。
「自分で考えて、創意工夫をして、行動に移していく。何をやるにしても、意見や意図を持った人間に育ってほしいと思っています」
結構珍しいのでは……と思ったのが、ホワイトボードに記された1日の練習スケジュールだ。メニューの横には必ず開始時間が書いてあり、練習終了の時間も明記されていた。
「極力、練習の延長はナシ。タイムスケジュールに沿って、進むようにしています。こうやって時間とメニューを提示することによって、選手は次に向けての準備ができます。予定がなければ、準備することも考えることもできませんよね」
取材から数日後には静岡・伊豆市に向かい、2泊3日のトレーニング合宿に入った。今までは3日間ともにトレーニングにあてていたが、2日目の午前中には地元の高校を借りて、実戦練習をやる日をもうけた。これも、昨年とは違った変化であり、挑戦である。
現状維持は衰退の始まり――。
リスクを恐れずに、チャレンジを続けていく。
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