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【常総学院】伝統と革新のオフトレ、オフ練習(前篇)

2018.1.5

写真|強豪常総学院(茨城)を率いる佐々木力監督

春・夏合わせ甲子園出場25回(そのうち優勝2回、準優勝2回)と、全国でも屈指の戦績を誇る常総学院。昨秋の茨城県大会では惜しくも準決勝で明秀日立に敗れてしまい、選抜への道は断たれたものの、今夏への勝負は既に始まっている。木内幸男前監督時代から受け継がれている伝統と、現代野球に適応した革新が融合する名門校のオフトレーニングに迫った。


伝統と革新のオフトレ、オフ練習

オフシーズンもボールを使った練習がメイン

『西の富士、東の筑波』と、富士山と並び称される筑波山が見える常総学院のグラウンド。そこは、12月の肌寒さを吹き飛ばすほどの熱気に満ち溢れていた。チームの指揮を執るのは佐々木力監督。“木内マジック”と称され野球部の伝統を築いた木内前監督時代からコーチ、部長としてチームを支え、同校の輝かしい歴史と共に歩んだ人物である。

「実は木内監督はトレーニングと呼ばれるものが嫌いでしたね(笑)。オフシーズンはもっぱら紅白戦。実践で選手たちに野球を教えていくスタイルだったんですよ」。

写真|「謙虚」と書かれた紙が貼られた常総学院(茨城)のベンチ

一般的に高校野球のオフシーズンというと、投手であれば走り込み、野手であればウエイトトレーニングに重点を置いた練習を想像してしまう。しかし、常総学院では平日はボールを使い、土日は紅白戦。あくまで実践を想定した練習に励むという。

「雪が積もればさすがにボールは使えませんが、ここからも見える筑波山が冬の冷気を止めてくれる。だから、グラウンドに雪が積もるということは滅多にありません。比較的に気候は温暖で、ノックやフリーバッティングは可能なんですよ」。

守備はあくまで基本に忠実。ノックはランナーを想定しているため、ワンプレーでは終わらず俊敏なボール回しが特徴的。金子誠(現・日本ハムファイターズ一軍内野守備走塁コーチ)や、仁志敏久(現・侍ジャパンU-12監督)など、プロ野球の歴史でも指折りの守備職人を育て上げた練習だ。

身体のケアも含めた伝統の練習

守備では低い姿勢が大切と佐々木監督は話す。低い姿勢ができれば、トンネルを防ぎ、イレギュラーした打球を身体で止めることが可能だからだ。しかし、そのために股関節の柔軟性が重要となる。

「今の選手より、昔の選手の方が股関節は柔らかかったと思いますね。トイレだって、洋式より和式の方が柔軟性が必要でしょう? 投げる・打つ・捕るといった野球の動作には股関節がポイントとなる。股関節の柔軟性を鍛えるトレーニングに関しては10種類以上毎日行っています」。

股関節は体の中心にあり下半身と上半身の中継地点。股関節の動きがかたくなってしまうと、野球のパフォーマンスに大きく関わる。さらに、怪我の原因となる恐れがある。

股関節トレーニングの他にも整理キャッチボールという全体練習がある。これはいわば『肩休め』の役割を持ち、練習の終わりに必ず行われているものだ。

「オフだからこそ、身体のケアに目を光らせる必要がありますね。投げ込みにしても過剰に投げさせず、休養期間をしっかり設ける。プロ野球と同じで高校野球もオンとオフがなければ身体が持ちませんから」。

2016年の夏以降、3大会連続で甲子園の切符を逃している常総学院。その悔しさからオフシーズンとは思えない緊張感がグラウンドを包みこんでいた。甲子園常連校として“絶対に夏は甲子園へ行くんだ”そういった意地とプライドが垣間見れた気がする。(取材・撮影:児島由亮)

後篇へ続きます

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