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【関東一高】「勝負の夏」を見据え、練習で下半身と体幹を鍛える(後篇)

2017.12.20

写真|苦しい表情で体幹トレーニングに取り組む選手たち

過去10年で春夏合わせて8度の甲子園出場を果たしている関東一。この数字は日大三の7回、早稲田実の5回を上回り、東京の高校では最多である。またこの期間に山下幸輝(国学院大→DeNA)、中村祐太(広島)、オコエ瑠偉(楽天)と三人のプロ野球選手を輩出しており、まさに勝ちながら育てられるチームと言えるだろう。そんな関東一を率いる米澤貴光監督に現在強化しているポイントをうかがい、12月の練習を取材した。


2005年くらいからだと思うのでもう10年以上になりますが、定期的に50m走、30m走(50m走の際の30m時点のタイム)、1500m走、遠投、立ち幅跳び、握力、スイングのヘッドスピードなどのデータを取り続けています。だから今までのチームと比べてどうかというのはすぐわかるんですね。

これまではどちらかというと運動能力的な数値は高いけれど、実際の野球のプレーが上手くないということが多かったので冬でも野球が上手くなるようにということを考えてやっていたことが多かったです。ただ今年のチームは珍しく逆で、小手先の技術はそれなりにあってバットに当てるのは上手いのに走るタイムやヘッドスピードを見ると全体的に低い。だから下半身と体幹をしっかり鍛えようということはいつも以上に多くやっています」

写真|選手に打撃のアドバイスをする米澤監督

取材した日の練習も主にバッティングとトレーニング系が中心だった。バッティングでは緩いボールを重さのある木製バットで打つフリーバッティングだけでなく、真横から投げるボールをスクワットしながら繰り返すティーバッティングが行われていた。これも下半身を使ってスイングの力強さをアップさせるためのものである。

写真|真横からのボールを打つスクワットティーに取り組む宮田キャプテン

写真|真横からのボールを打つスクワットティーに取り組む高校球界屈指の快速を誇る齋藤君

またトレーニングはメディシンボールを使い、体幹を鍛えるものが中心だった。ともにチームの弱点を補うための明確な狙いが見られるものと言えるだろう。スクワットティーも体幹トレーニングも体力的にきつそうなメニューだったが、それに対して励まし、寄り添いながら指導する米澤監督とコーチ陣の姿も印象的だった。

写真|体幹トレーニングに取り組む選手たち

「選手に対してはグラウンドよりも寮生活での方が厳しいことを言う回数が多いと思います。プレーについては選手も失敗しようと思って失敗しているわけではないので。それよりも普段の生活で食事や片付け、整理整頓ができていないことの方を厳しく指導していますね。

甲子園にはもちろん行きたいですけど試合については最後は運ですから。運といってもギャンブルの運ではなくて、どっちに転ぶか分からないという意味ですね。ただ普通にやったら五分五分のところを少しでもこちらが勝てる確率を高くできるか。そのためにできることを全てできるか、ということが重要だと思いますね。今年は特にセンバツもないし一から土台をしっかり作って、夏に勝負できるようにということを目標にしてやっています」

写真|グラウンドに整列されたスパイク

秋は不本意な成績であったが、その結果に対しても真摯に受け止め、課題を克服しようという意図がよく感じられる米澤監督の話と練習だった。一冬超えて逆襲の春、そして夏へ。関東一がどんなチームに生まれ変わるかが今から楽しみである。(取材:西尾典文、撮影:編集部)

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