悲願の夏制覇に向けて高まる「食」への意識

玉子飯より以前から、鹿実は「食トレ」を導入している。専門家の指導の下、「食」に気を配るとともに、選手個々に不足した栄養素は強化食で補っている。2015年の導入後すぐに夏の甲子園出場へと繋がったため、すべての練習終了後30分以内の、いわゆる「ゴールデンタイム」に強化食を摂取している。
2015年時点で県内最強のライバルと目されていた神村学園の選手たちの体格の良さが、鹿実の食トレ導入の動機の一つだった。鹿実にとっては、食トレで身体を大きくするという分野において先行していた神村学園を意識しながら身体づくりをし、チーム力を高めることができた点は大きかった。
「チーム全体の数値がライバル校に匹敵するほどになったことが『俺たちは体力で負けてはいない』という自信の根拠になったし、選手を奮い立たせる材料にもなった」と宮下監督は語る。

チーム内で統一目標を設定することは、チームの結束力を高めることにも繋がる。結果的に、夏の準決勝で神村学園に3ー2で競り勝ったことと、決して無縁ではなかったのである。
「選手たちの食べることに対する意識がすごく強くなりましたよね。『食わなきゃハードな練習に耐えられない。練習に耐えられないなら野球も上手くならない。選手個々が伸びてこなければチームとしても強くなれない。食はすべてに繋がってくるんだ』という話はこんこんとしました。食事がメンタルにも技術的にも繋がってくるということ、食トレの大事さを痛感した1年になりました」と、宮下監督は言う。また「今の高校野球に太刀打ちしようと思えば、また、全国レベルで勝っていこうと思えば、最低限これぐらいのことをしないと戦っていけないのかなと思います。どこでも取り組んでいることなので。そこに乗り遅れたくないという気持ちもありますよ」と言った。

今夏の甲子園は吉田輝星を擁する金足農に初戦敗退。チームは9安打を放ったものの吉田の剛球にわずか1得点、14奪三振と沈黙した。本物の国内トップクラスを体感したことで、鹿実は「食」に対する意識を一段と高めたに違いない。
甲子園の思い出


「大会ナンバーワン」と注目された吉田輝星(金足農)の前に14個の三振を奪われ初戦敗退を喫した鹿実。「あんな直球の球筋は見たことがなかった。こちらの想像をはるかに上回るレベルでした」と、さすがの宮下監督も吉田に脱帽するしかなかった。
鹿児島実業高校DATE
所在地:鹿児島県鹿児島市五ケ別府町3591−3学校設立:1916年
直近の戦績:
2018年夏・県大会優勝、全国高校野球選手権1回戦
2018年春・県大会準々決勝
2017年秋・県大会準優勝、九州大会2回戦
(文・写真:食トレマガジン#7より)
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