逆襲の原動力は「一杯の玉子飯」

秋は神村学園に敗れて準優勝。翌春センバツへの参考資料となる秋季九州大会では明豊(大分)に0ー10の5回コールド負けで初戦敗退。苦しい冬を乗り越えて臨んだ春も、県準々決勝で樟南に3ー10のコールド負けを喫している。このふたつの力負けを乗り越えてきた背景にあるものこそが「食」である。負けを重ねるたびに練習はハードになっていく。それに耐えうるだけの体力、精神力を「食の力」で培ってきたのだ。

(右)玉子飯用に女子マネジャーが炊く米は1日6升。グラウンド脇から漂う炊煙が選手たちの食欲を誘う。
「鹿実は昨秋から練習の合間に補食タイムを設けた。山盛りの飯に卵をかけてカツオ節を乗せ、一気にかきこむ。米は毎日、女子マネジャーが6升を炊く。
「ウチの練習はハードで時間も長い。それなのに昼食から夕食までの間が9時間も空いてしまうのはどうなのか。『この間に1回入れてみては』という相談が保護者の方からありました。だったらやってみよう。やるなら徹底的にやろうと。米は保護者が段取りしてくれました。この取り組みはチームを強くするにあたって非常に大きかったですね」と宮下監督は語る。

補食のタイミングとしては全体で行なうアップ、キャッチボール、ノックなどを済ませた後に入れる。そして見る見るうちに補食の効果は表れていった。
「空腹でやっている状態よりも、明らかに集中力が増した感じがあります。 (腹減ったな……)と感じながらやっている時って、なかなか集中力を維持するのが難しいんです。玉子飯を始めてからは、練習にも集中力が出てきたし、練習量もたくさんできるようになった。同じ時間の中でもより効率的に数をこなせて、質も上がりました。こうなれば技術力も自ずと向上しますよね」。
春の準々決勝敗退後に、ようやく結果に結びついた。夏の前哨戦と位置づけられるNHK旗大会2回戦で樟南に2ー1とリベンジを果たすと、盤石の強さを発揮してそのまま大会を制覇。夏の第1シードを勝ち取り、甲子園出場へと繋げたのだった。