カラダづくり

【鹿児島実業】負けられない100の節目、「食トレ」で決めた甲子園

2018.11.15

逆襲の原動力は「一杯の玉子飯」

学校に近い寮の食堂に全員が集合したところで夕食はスタート。その日の献立に加えて、各自が納豆やフルーツなどの「プラス一品」摂取を心がけている。

秋は神村学園に敗れて準優勝。翌春センバツへの参考資料となる秋季九州大会では明豊(大分)に0ー10の5回コールド負けで初戦敗退。苦しい冬を乗り越えて臨んだ春も、県準々決勝で樟南に3ー10のコールド負けを喫している。このふたつの力負けを乗り越えてきた背景にあるものこそが「食」である。負けを重ねるたびに練習はハードになっていく。それに耐えうるだけの体力、精神力を「食の力」で培ってきたのだ。

(左)昨年秋に導入した玉子飯。生卵とカツオ節を乗せ醤油で味付けしただけのシンプルな大盛りごはんだが、たんぱく質補給と練習での集中力維持、練習におけるパフォーマンス向上に大きな役割を果たした。
(右)玉子飯用に女子マネジャーが炊く米は1日6升。グラウンド脇から漂う炊煙が選手たちの食欲を誘う。

「鹿実は昨秋から練習の合間に補食タイムを設けた。山盛りの飯に卵をかけてカツオ節を乗せ、一気にかきこむ。米は毎日、女子マネジャーが6升を炊く。
「ウチの練習はハードで時間も長い。それなのに昼食から夕食までの間が9時間も空いてしまうのはどうなのか。『この間に1回入れてみては』という相談が保護者の方からありました。だったらやってみよう。やるなら徹底的にやろうと。米は保護者が段取りしてくれました。この取り組みはチームを強くするにあたって非常に大きかったですね」と宮下監督は語る。

取材日には月に一度の測定が行なわれていた。

補食のタイミングとしては全体で行なうアップ、キャッチボール、ノックなどを済ませた後に入れる。そして見る見るうちに補食の効果は表れていった。
「空腹でやっている状態よりも、明らかに集中力が増した感じがあります。 (腹減ったな……)と感じながらやっている時って、なかなか集中力を維持するのが難しいんです。玉子飯を始めてからは、練習にも集中力が出てきたし、練習量もたくさんできるようになった。同じ時間の中でもより効率的に数をこなせて、質も上がりました。こうなれば技術力も自ずと向上しますよね」。

春の準々決勝敗退後に、ようやく結果に結びついた。夏の前哨戦と位置づけられるNHK旗大会2回戦で樟南に2ー1とリベンジを果たすと、盤石の強さを発揮してそのまま大会を制覇。夏の第1シードを勝ち取り、甲子園出場へと繋げたのだった。


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