カラダづくり

【鳥取城北】春の大敗を乗り越えて鳥取の頂に立った夏

2018.10.31

3年ぶり5度目の甲子園出場を果たした鳥取城北。県下最多の部員数を誇り選手層も厚く、個性派揃い。特に今年は何度もチームとして「ひとつになる」ことの意味を監督は選手たちに伝えてきた。春の県大会での大敗、エースの台頭など、さまざまな出来事を通して少しずつ選手の意識が変わっていった。


食トレの重要性を知り全員で情報を共有


野球部・監督 山木博之 (やまき ひろゆき)
1975年生まれ。大阪府出身。鳥取城北から大阪体育大学へ進学。卒業後、江の川(現・石見智翠館)を経て、2009年に母校へ。同年の秋から監督就任。体育教諭。
近年アクティブラーニング型の授業を取り入れるなど、独自の取り組みが実を結び、現役で難関大に合格する生徒が出ている鳥取城北。部活動も盛んで、全国有数の強豪である相撲部は照ノ富士、逸ノ城などを輩出。野球部は能見篤史選手(阪神タイガース)、藤原良平選手(埼玉西武ライオンズ)らをプロ野球界に送り出している。

鳥取城北が食トレを始めたのは、山木監督が江の川高(現・石見智翠館)時代に栄養指導を導入していたことがきっかけ。食べる力をつけることによって野球の力もついてくると監督は考えている。日々の食トレの重要性を前任校で実感していたので、母校に赴任後も取り入れることにした。県下でもトップクラスの135名の部員がいるが、全員が専門家のサポートを受けているわけではない。お金がかかることなので、強制はしていない。だが栄養指導の講義を受けていない選手にも学んだことを共有し、全員で食トレを意識している。

マネージャーお手製のカレーは味もボリュームも満点。


投手陣は代々、練習場に花を植えたり、昼食に使う野菜の畑を手入れをしたりするのが伝統。これには思いやりの心を育んだり、視野を広げ周りをよく見ることができる人になれるように、という意図がある。マリーゴールドの柵は、花の周りについた足跡に気づいた難波投手によって立てられた。

新チームになって感じたひとつになることの難しさ

現3年生の一学年上は70名もの先輩がおり、チームを引っ張っていく力のある選手が多かった。現3年生が最上級生になったとき、責任感を持ってチームのために動ける選手が現れるのか不安を感じた監督は、練習を学年ごとで分けることに。そこで一人でも多くチームの中心となる選手が育ってくれればと願った。

新チームになり初の公式戦でもある秋の県大会は、決勝で米子松陰に負け準優勝。結果だけをみれば悪くはないが、試合内容をみれば力で勝っているとは言い難かった。続く中国大会では、初戦の尾道(広島県4位)戦に1点差で敗れた。甲子園のかかった試合で、チームとしての脆さや弱さが出てしまった。


食後の食器洗いは選手たちの役目。
なぜ、自分ではなくて他の選手が試合に出ているのか。なぜ、真面目に練習している自分が出られないのか。そんな不満がチーム内に不和を生じさせた。
「秋の県大会に負けてから、チームがまとまっていないのが顕著に表れてきました。だから選手には何回もひとつにならなアカンでと伝えました」。

一度チームをリセットして冬に向けて過ごそうと監督は考えていたが、なかなか前に進むことができずにいた。春に向けて明確なビジョンを持ち、チームとして、そして一選手としてどのように冬を過ごすかを意識的に考え動ける選手は僅かだった。


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