県内最多となる春夏通算23回(春10回、夏13回)の甲子園出場を誇る浦和学院。名将・森士監督の下、バランスの良い「練習」「栄養」「休養」によってチームを鍛え上げ、今年は5年ぶりとなる夏の甲子園出場を果たした。これまで数多くのプロ選手を輩出してきた名門校の聖地への道と育成法を探る。
打力強化で辿り着いた〝ご褒美〟の甲子園
次こそは自分たちの番だ。そう誓い合った。1991年からチームを率いる経験豊富な森監督は、「うちには打力が足りなかった。特に夏の甲子園は打力がないと勝ち上がれない」と再認識した中で、改めて「打力アップ」をチーム全体のテーマに掲げた。主将の蛭間拓哉選手を中心に「素直さがあって、まとまりのある代でした。素直に話を受け止めることができて、それを形に変える強さ、勇気を持ち合わせていた」と森監督。チームが未完成だった秋は県準々決勝で敗れたが、ひと冬超えた春は県決勝で花咲徳栄に6対5のサヨナラ勝ちで優勝。そして第100回記念大会で南北に分かれた今夏は、6試合で60得点と打線が大爆発。県川口との決勝戦では19安打17得点と圧倒し、5年ぶり13度目の夏の切符を力強く掴み取った。
迎えた甲子園大会では、1回戦で仙台育英と対戦した。2013年夏の甲子園で激戦の末に10対11のサヨナラ負けを喫した相手を、今度は9対0で下して5年越しのリベンジに成功すると、続く二松学舎大附戦も6対0の完勝。準々決勝では「春先の練習試合では勝ったりもしましたが、本気になった大阪桐蔭は強かった」と優勝校の前に2対11で屈したが、森監督は「甲子園はご褒美の場所。選手たちは本当によく頑張った。悔しさよりも感動の方が大きかった」と最後まで戦い抜いたチームに賛辞を贈った。掴み取った確かな成果。この1年で、選手たちは間違いなく、大きく成長した。