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【花咲徳栄】3季連続甲子園出場校の名物トレーニング!チームの礎を作る徹底した体幹&下半身強化(砂場編)

2016.12.15

今年の秋は惜しくも関東大会初戦で敗れたものの、2015年夏から3季連続で甲子園に出場するなど関東でも指折りの強豪校である花咲徳栄高校。昨年のドラフトでは大滝愛斗(西武4位)、今年のドラフトでは高橋昂也(広島2位)、岡崎大輔(オリックス3位)と2年間で3人のプロ野球選手を輩出しており、チームの勝利と選手の育成を見事に両立させている。そんな花咲徳栄がオフのこの時期、どんなトレーニングを行なっているのか?タイムリー編集部が取材した。


取材当日は期末テストの最終日でなおかつ朝方に降った雨でグラウンドのコンディションが良くないことから、投手陣のブルペン投球以外はボールを使わないトレーニングに時間を費やされた。トレーニング分野を担当しているのは、健大高崎など他の強豪校でも指導を行っている塚原謙太郎トレーナー。塚原トレーナーに当日のトレーニングメニューのポイントについて聞くと「肩甲骨周り、体幹、股関節周辺を特に重視しています。ただ走るだけでは鍛えられないところなので、この時期は特に重点的に取り組んでいます」とのこと。今回紹介するメニューも、そのポイントが大いに感じられるものだった。

徳栄名物「砂場トレーニング」

「今では徳栄名物になっていますね」と塚原トレーナーが語るのが、砂場を使った強化トレーニングだ。内陸の埼玉県加須市に学校があるため、トラック2台分の砂をグランドに運び込んでトレーニング用の砂場を作っている。この日行っていたメニューは全て二人一組で行うもので全5種類。

まずは「アトム」と呼ばれるものだ。両脚を相手の腰付近に巻きつけ、そこから体を水平に保ち、巻きつけられた側が砂場の上を歩くというもの。名前の由来はもちろん「鉄腕アトム」。体を水平に保って飛んでいる姿勢をアトムが飛ぶ姿になぞらえたものだ。水平に保つためには背筋とハムストリング(太ももの裏)の強い力が必要になる。数メートル歩いただけで水平に保っている選手の顔は見る見るうちに紅潮し、姿勢を保つことがいかに難しいかがうかがえた。

次のメニューは手押し車。旧来からよくあるトレーニングだが、塚原トレーナーの工夫が見られた。まず前に進むのではなく横向きに進む。そして「補助する側はつま先を持つこと」がポイントだという。そうすることで、膝が曲がるのを防ぎ、股関節を固定し体幹を安定させて動かないと前に進めないというのだ。同じメニューでも少し変化を加えることで鍛えられる箇所が変ってくる興味深い例と言えるだろう。

三つ目のトレーニングは相手を(肩に担いで)頭の上で担いで歩くというもの。これも言葉にすると単純だが、自分と同じくらいの体重を担ぐだけでも負荷がかかるのに、更に(不安定な)重い砂の上を歩くのである。どれだけ大変か想像してもらいたい。そうすることで養われるのはバランス感覚。更に極力歩幅を長くすることで股関節が一層鍛えられるというわけだ。

後の二つは単独で行うもの。まず「アヒル」と呼ばれるトレーニングは中腰の姿勢で歩くものだが、これも股関節を鍛えるポイントがある。それは足を外から大きく回して進むということだ。そうすることで股関節が大きく動かされる。また動きが大きくなることでテンポ良く進む必要が生まれ、リズム感も養われるのだ。もう一つは「カエル」と呼ばれるもの。これも中腰の姿勢からその名の通りカエルのようにジャンプするもの。アヒルと同様に股関節はもちろんだが、大きく飛ぶには腹筋を使う必要があり、体幹強化にも繋がっているのだ。

次回は「鉄の棒」トレーニング編です。


(取材・文=西尾典文、写真=花田裕次郎)