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【花咲徳栄】3季連続甲子園出場校の名物トレーニング!チームの礎を作る徹底した体幹&下半身強化(鉄の棒編)

2016.12.19

今年の秋は惜しくも関東大会初戦で敗れたものの、2015年夏から3季連続で甲子園に出場するなど関東でも指折りの強豪校である花咲徳栄高校。昨年のドラフトでは大滝愛斗(西武4位)、今年のドラフトでは高橋昂也(広島2位)、岡崎大輔(オリックス3位)と2年間で3人のプロ野球選手を輩出しており、チームの勝利と選手の育成を見事に両立させている。そんな花咲徳栄がオフのこの時期、どんなトレーニングを行なっているのか?タイムリー編集部が取材した。


20Kgの重い鉄の棒を使った股関節強化のトレーニング

次のトレーニングで活用するのは鉄の棒。棒の長さは約2メートル、重さ20kg。細く見えるが実は中に砂が詰まっており、持ち運ぶのにもかなりの力が必要になる。塚原トレーナーによると砂の量で重さを調節しているそうだ。

まず行ったのはこの棒を利用したサイドステップ。棒を体の前に立てた状態でスタートし、左に倒しながら体操の伸脚の体勢をとる。そして棒を戻しながら立ち上がり右側へも同じ動きを行う。これをリズム良く10往復繰り返して1セットだ。かなりの長さと重さがあるため、普通に動くよりも股関節にかかる負荷は大きくなる。しっかりと膝を曲げてしゃがみ、股関節を利用して立ち上がることが重要である。

次はスクワット。体の前に縦向きに棒を倒して両手で先端を持ち、中腰の体勢からスタートする。そこから棒を持ち上げながら軽く跳ねて立ち上がり、一度棒を話して受け止めて再び腰を落とす動作を繰り返すのだ。これも10回繰り返して1セット。鉄の棒の重さにより、単純なスクワットよりも股関節とハムストリング(太ももの裏)にかかる負荷はかなり大きい。

 

次はランジの変型版。片足を前に出し、反対の足を後ろに伸ばした中腰の姿勢で片手で棒の先端を持ち、それを左右持ち替えながら跳ねてランジを行うのだ。これも左右の持ち替え1回で1セットとなる。股関節の強化はもちろん、左右の持ち替えが発生することでバランス感の養成にもつながる。

 

これらのメニューは二人一組で合計5セット行われた。自分の番が終わると相手が行っている間は休憩なのだが、思わず横になる選手もおりその厳しさがよく伝わってきた。

効率的に筋肉に負荷を与える加圧ベルトの存在

砂場トレーニングでも鉄の棒を使ったトレーニングでも、選手は上腕と太ももに常に加圧ベルトをつけた状態で行っていた。塚原トレーナーは加圧トレーニングのインストラクターの資格も保有しているが、その効果をこう語った。
「上腕は10分、太ももは20分で一度ベルトを緩めて除圧する必要がありますが、トレーニングの時は基本的に常に加圧ベルトを巻くようにしています。効果が全く違うということもありますが、もう一つは疲労回復の狙いもあります。加圧した状態だと疲労物質の乳酸が溜まりますが、(やり方次第では、疲労回復を促すこともできます。)それを繰り返すことで乳酸を除去する力もつくので疲労回復が早くなるのです」

ベルトを短時間巻きつけることで効果的に負荷を与えていく。トレーニングの内容はもちろん、より効率的に鍛える工夫が垣間見えた。選手たちも口々に「きつい」と話しながらも、トレーニング中は選手同士で声を掛け合い、非常に活気に溢れたもので、充実した表情が印象的だった。


(取材・文=西尾典文、写真=花田裕次郎)



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