昨年秋の千葉県大会で準優勝し、関東大会でもベスト8に進出した中央学院高校野球部。しかし現在のチームは歴代でも最弱と言われるほどだったという。そこから力をつけてセンバツ出場まであと一歩に迫った結果の裏にはどのような練習、指導があったのだろうか。2月の練習取材の後篇をお届けする。
◆目 次◆
・辛いトレーニングほど楽しくやる
・個別指導と段階別学習に近いグループ練習
・指導者も選手と一緒になってレベルアップを目指す
辛いトレーニングほど楽しくやる
バッティング練習の後は走者をつけて場面を想定したシートノックが行われたが、その間投手陣は個別のメニューを消化。キャッチボールからフォームを意識して投球動作を繰り返し、肘と手首の使い方を意識するためにラグビーボールを投げる練習も行っていた。
また、「この時期でも暖かい日はどんどんボールも投げさせます(相馬監督)」と言うように、何人かの投手はブルペンでのピッチングも実施。この日ノースローの投手は平均台を使ったジャンプやそれほど負荷の大きくないバーベルで体勢をキープするトレーニングなどで下半身と体幹の強化に取り組んでいた。
ピッチングもトレーニングもコーチが付き添って時折声をかけながら明るい雰囲気で行われており、「辛いトレーニングほど楽しくやる(相馬監督)」という方針がよく分かる練習風景だった。
個別指導と段階別学習に近いグループ練習
シートノックが終わった後に行われたのがポジションやレベルに応じて5つのグループに分かれての練習。相馬監督と4人のコーチが一つずつグループを担当し、それぞれの課題に合わせてドリルやトレーニングを行っているという。 「(学習塾などの)個別指導とか段階別学習に近いイメージです。その班の中でも選手によってメニューが違ったりしますから。その年によって内容は変わりますが今年のチームは特に守備を何とかしようということで、野手は守備の練習が多いですね(相馬監督)」。
その言葉通り、内野手はゴロをとる動きとそこから送球する形を確認するドリルを繰り返し行っていた。またトレーニングに関しても定期的に数値を測って一覧化しており、不足している部分を重点的に強化しているそうだ。
指導者も選手と一緒になってレベルアップを目指す
最後に相馬監督に目指すチームについて話を聞いた。
「(社会人でプレーした)シダックスは本当に大人のチームで、試合になると全員が勝つために一つになっていました。自分はあまり貢献できていませんでしたが、それでもすごくいい経験をさせてもらったと思っています。ああいうチームが理想ですね。あとはやっぱり選手が自分で楽しんで取り組まないと上手くならないと思うんですよ。やらされるんじゃなくて自分で課題と向き合う。コーチにもそういう風にやってほしいと言っています」。
相馬監督は現在37歳でコーチ陣も20代後半の若い陣容ということもあって、一緒になって練習やトレーニングを行っているという。相馬監督と菅井コーチは社会人、羽豆コーチも独立リーグで鳴らした投手ということで、実戦形式では積極的にバッティングピッチャーも務めている。選手にとってはこのうえない練習になっていることだろう。 指導者も選手と一緒になってレベルアップを目指す。その方針がよく分かる中央学院の練習風景だった。(取材・文・写真:西尾典文)