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【中央学院】分厚いマニュアルと4人のコーチ。野球の技術向上に集中できる野球環境

2017.2.13

バッティング練習に取り組む中央学院野球部の選手たち

昨年秋の千葉県大会で準優勝し、関東大会でもベスト8に進出した中央学院高校野球部。しかし現在のチームは歴代でも最弱と言われるほどだったという。そこから力をつけてセンバツ出場まであと一歩に迫った結果の裏にはどのような練習、指導があったのだろうか。2月の練習を取材した。


◆目 次◆
分厚いマニュアルと少ないミーティング
信頼厚い4人の常駐コーチ
とにかく実打を多くする冬の時期のバッティング練習

分厚いマニュアルと少ないミーティング

相馬幸樹監督は市立船橋高時代には夏の甲子園に出場し、大阪体育大、シダックスでもプレーした好投手である。また、引退後には大学院でスポーツ心理学を学び修士課程を修了。一昨年12月に行われた日本野球科学研究会では「高校野球におけるオリジナルマニュアル本を利用した実践報告」http://baseballscience.net/wp/wp-content/uploads/hpb-media/conference3_ippanhappyou.pdf)と題した発表も行っている。このマニュアルの内容は技術的なドリルだけでなくデータ収集や日常生活にまでおよび、100ページ近いボリュームのものだ。

100ページを超える中央学院野球部のマニュアル
100ページを超える中央学院野球部のマニュアル

部訓などを部室に貼っているような学校は少なくないが、これだけまとまったマニュアルがあるというのはかなり珍しいことである。まずその狙いについて相馬監督に話を聞いた。
「一時期部員数が100人近くまで増えたことがあって、そんな大人数に一斉に話しても聞いてないなと思ったんですね。全員が同じ認識を持っているかも疑問でしたので、それで立ち返る場所を作るという意味で作りました。選手だけでなく保護者にも見てもらえるようにweb上に専用ページを設けてアップもしています」

研究会で発表したものから現在の練習内容はまた変化しているそうだが、精神的にぶれやすい高校生にとって生活面や心構えを明文化することの効果は大きいという。また、そうすることで野球の技術練習に集中して取り組むことができるというメリットもあるそうだ。
「高校野球だと生活指導とかプレー以外の部分に時間をとられることが多いと思うんですよ。でもこういう形できちんと示しておけば指導がぶれることがない。野球の練習に集中できるんですね。だからうちはミーティングも少ないですし、やる時は効果を上げるように場所を変えて視覚にも訴えるようにパワーポイントのスライドを用意したりします」

信頼厚い4人の常駐コーチ

中央学院のもう一つの特徴がコーチとスタッフ陣の充実だ。投手を担当する菅井聡コーチと羽豆恭コーチ、野手を担当する中野翼コーチと福嶋翔平コーチの4名がチームに常駐しており、他の外部コーチやOBが練習を見ることも少なくない。役割分担をして組織としてチームを強化するというのが相馬監督の考えだという。

お話を伺った中央学院野球部の相馬幸樹監督
お話を伺った中央学院野球部の相馬幸樹監督

「基本的に選手を上手にするのはコーチの仕事だと思っています。以前は練習メニューも全部自分が決めていましたが、それではコーチがいる意味がないと思って、今は確認するだけにしていますね。練習でも自分が気づいたことは当然言いますけど、選手が迷わないように何を話したかはコーチにも必ず伝えます。自分もそれぞれのコーチも得意な分野、不得意な分野がありますし、選手も色んな目で見てもらった方がいいと思うんですよね。そういう意味でコーチには常に選手とも自分とも勝負してほしいと常々言っています。そしてコーチが鍛えた選手を試合の場で生かすのが自分の役割。そうやってチームを作っていくようにしています」

とにかく実打を多くする冬の時期のバッティング練習

効果を上げるために無駄を省き、豊富なコーチ陣のもとで野球の技術向上に集中する。実際の練習でもそのチーム方針が見られる内容だった。
平日は14時30分頃から練習がスタートするが、その時間に集まるのはカリキュラムの都合上2年生だけ。そして全員が揃うまでの約1時間はバッティング練習にあてられている。ここでの狙いは、実際に多くのボールを打つということ。6か所のケージとバックネットの前の2か所、合計8か所で打席が接地されており、打撃投手が早いテンポで緩いボールを繰り返し投げて打者はとにかく多く打ち返す。

決められた時間の中でカゴいっぱいのボールを打ち切ることが求められるため、練習の無駄も必然的に少なくなってくる。打撃投手は投げること、打者は打つことに集中しており高校野球の現場によく聞かれるような大きな声を選手が出すこともない。どちらかというとプロや社会人チームの練習のような雰囲気である。

実戦の多くなる3月からは監督やコーチ自らが投げて実践的なボールを打つことが多くなるが、この時期は強く振る力を養うためにこのような形をとっているそうだ。数多く打つ練習とはいえ決して質を疎かにしているわけではない。相馬監督と野手担当のコーチは練習の様子を常にチェックしており、良くない形で打っていたり集中力の落ちてきている選手にはすかさず声をかけていた。監督とコーチの目で練習効果の最大化を図っていると言えるだろう。(取材・文・写真:西尾典文)

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