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【中京大中京】全国一の名門校の普通すぎる練習環境。必然的に磨かれた数と効率を意識した練習(前篇)

2017.2.27

高校野球では間違いなく全国でもナンバーワンの実績を誇る愛知の名門、中京大中京高校。しかしそのグラウンドや練習時間などは意外にも他の強豪校と比べても決して恵まれているとは言えないものであった。そんな中でも結果を残し続ける理由はどこにあるのか探るべく、2月の練習を取材した。


◆目 次◆
専用グラウンドなし!室内練習場なし!普通すぎる練習環境
数と効率を意識した投内連携、内野守備練習
3か所で同時並行で行われていた外野ノック

専用グラウンドなし!室内練習場なし!普通すぎる練習環境

高校野球ファンなら誰もが知る存在である中京大中京。改めてその実績を振り返ると夏の甲子園優勝7回(単独1位)、センバツ優勝4回(東邦と並んで1位タイ)、夏の甲子園通算78勝(単独1位)、センバツ通算55勝(単独1位)など高校野球の主だった記録で圧倒的な実績を残していることがよく分かる。平成に入り苦戦した時期はあったものの、97年のセンバツで準優勝して見事に復活。09年の夏に堂林翔太を擁して見事全国制覇を果たしたことは記憶に新しい。

現在チームを率いるのは97年のセンバツで主将として準優勝にも大きく貢献した高橋源一郎監督。全国制覇を果たした翌年の10年秋に大藤敏行前監督から30歳(当時)の若さでバトンを受け継ぎ、一昨年の夏には上野翔太郎投手(現駒沢大)、伊藤寛士捕手(現法政大)のバッテリーを中心に甲子園でも3回戦まで勝ち進む結果を残して見せた。

そんな中京大中京は愛知県の名古屋市昭和区の住宅街に学校を構えている。これほどの名門校でありながら野球部の専用グラウンドがあるわけではなく、練習場は軟式野球部との併用。そのグラウンドもライト側は80m(レフト側は97m)と十分な広さがあるわけではなく、室内練習場も備えていない。このような環境について高橋監督に話を聞いた。

専用グラウンドを持たない中で効率的な練習を行っていた中京大中京野球部

「グラウンドなどの環境は自分の現役時代とほとんど変わっていません。伝統がある分、ネットやフェンスなども年季が入っています(笑)また、うちは寮がなく、全員が自宅から通学しています。遠い生徒は通学に2時間くらいかかる子もいるので、大体19時過ぎには練習も終わります。でもずっとこの環境でやってきたので、それで結果を出すのが当たり前だというのは学校としても野球部としてもあると思いますね」

数と効率を意識した守備練習

取材当日も平日の水曜日。普段は15時30分から練習開始だが、朝に降った雨の影響でグラウンド整備に時間がかかり、いつもより更に15分ほど遅いスタートとなった。この日の練習は守備中心のメニュー。冬の時期はドリルも多く行うそうだが、この週末から紅白戦を行う予定とのことで実戦を意識したノックが数多く行われた。

内野は投手と捕手も参加しての投内連係。外野は場所も限られていることもあって、一か所で受けるノックがまず行われた。
内野のノッカーは高橋監督が務めたが、目についたのがそのスピードだ。

一塁側、三塁側と交互にゴロやバントを想定した打球を打つのだが、とにかくテンポが速い。気になるプレーがあった時にノックをとめて選手に指導する高橋監督も心なしか早口に聞こえた。

3か所で同時並行で行われていた外野ノック

続いて行われたのは外野のポジションに入ってのノック。これも効率を考えてレフト、センター、ライトそれぞれにノッカーがつき、3か所で同時並行で行われていた。

当然それだけ一人あたりの受けるノックの数は多くなり効率は良くなる。そしてサード側のファウルゾーンでは投手が、ファースト側のファウルゾーンでは一塁手がノックを受けており、ノッカーは選手が務めていた。

シートノックは見ているだけの選手が増えてどうしても効率が悪くなります。そうならないように一人が多く受けられることを考えていますね。自分以外の部長、副部長も部活以外の仕事を結構任されていて平日は全員揃わない日もありますので、うちは選手もどんどんノックを打つようにしています」(高橋監督)。

【中京大中京】全国一の名門校の普通すぎる練習環境。必然的に磨かれた数と効率を意識した練習(後篇)

(取材・文・撮影:西尾典文)



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