カラダづくり

【岡山学芸館】「素直な心」と「笑顔」で掴んだ2度目の甲子園出場

2019.12.24

一日の食事量は強制しない、必要な量は選手が考える

練習の最後は、自分たちを支えてくれる全ての人に感謝を込めてグラウンドに向かい一礼する
甲子園に初出場した2015年、対戦相手だった静岡高校の選手の身体の大きさに驚いたという。

「静岡高校の選手は食トレをしていると聞きました。静岡高校のナインが高校3年生だとしたら、うちは入学したての選手のように見えたんです」。それから本格的に食トレを導入。今夏の岡山大会では炎天下のなか6試合戦ったが、選手は誰一人として足がつらなかったそうで、食トレ効果を実感した。

食トレの最終目標は3年生になったら「身長マイナス95」の体重になること。ただ、体重がクリアしたからよし、とするのではなく、しっかりと走れて瞬発力のある身体になることが重要になる。

自主練は苦手なことを克服する時間。自分に足りていない、できていない事を考える大切な時間だ。
チームの中心選手である知念君は163㎝で71㎏あるが、パワーを身に付けたうえ、動ける身体へと進化した。寮生も多くいる学芸館の選手に食事を提供している寮母さんは「畑で無農薬野菜を栽培しているので、その日の朝にとれた新鮮な野菜を食べてもらっています。季節感を感じてもらえるように、夏ならばきゅうり、トマト、南京のように旬の野菜を中心に出しています。試合前は佐藤先生と相談して、メニューを考えています。量も多めに作るので、部員にはお腹いっぱい食べてほしいですね」と笑顔で話してくれた。

足を使わず手の力のみで登るロープトレーニングは、上腕二頭筋や前腕部分や背筋などが鍛えられる。
練習後、飲み忘れのないように強化食の補充を行うマネージャー。強化食はチームで管理することで 飲み忘れを防ぐようにしている。

選手は寮にある畑で芋掘りや玉ねぎの収穫などを手伝うこともあり、こうした取り組みは選手の〝食育〟にもつながっている。

「食トレは大人が本気にならないとする意味がないと思いました。一方的に子どもたちにやれと言ってもなかなかできていない場合が多い。だからといって、無理にやらすのはうちの選手にはあわないです。上から言われるからやるのではなく、選手自身が食事は大事だと自分で気付いて食べることが大切。自分で考え食べることができたとき、食事はおいしくなります」。

強制するのではなく悟す。これが佐藤先生の目指す「考える野球」にもつながっている。
(取材・文:永野裕香/写真:冨岡誠)



野球部・監督
佐藤貴博 (さとうたかひろ)
1983年生まれ。宮城県出身。仙台育英高校では2001年の選抜で準優勝。城西大学卒業後、岡山県作陽高校へ。2013年に岡山学芸館へ赴任し2018年秋から監督。社会科教諭。


岡山学芸館高校
所在地 岡山市東区西大寺上1-19-19
学校設立 1960年
直近の戦績 2019年夏・県大会優勝、全国高校野球選手権3回戦

「食トレ」関連記事

  • 1
  • 2


PICK UP!

新着情報