学校・チーム

【石橋】あと一歩を超えるために、やることを絞り甲子園へ

2018.4.23

一昨年夏の甲子園の覇者である作新学院以外にも白鴎大足利、佐野日大、國學院栃木、文星芸大附など私立の強豪がひしめく栃木県。そんな中でも公立校ながら存在感を見せているのが石橋高校だ。限られた条件と時間の中でも、最大限の工夫をしながら取り組む食トレを取材した。


同じ条件の進学校を手本に食事の見直しを実施

栃木県の南部に位置する下野市唯一の高校である栃木県立石橋高校。その創立は1924年と古く、県内でも有数の進学校として知られている。野球部の歴史も長いが、強豪私学の前に敗退が続き目立つ成績を残してはいなかった。

そんな石橋高校に一昨年の4月に福田博之監督が着任。福田監督は前任の宇都宮北ではたびたび上位進出を果たすなど、県内で実績のある指導者だ。福田監督が食トレを本格的にスタートしたのはその宇都宮北時代。きっかけはある公立校との練習試合だった。


2学年合わせて選手は22人、マネージャーは3人と多くはないが、限られた条件の中で地元の選手に選んでもらえるチームを目指している。

「茨城の日立一高(日立第一)さんと練習試合をしたときに、見るからに自分のチームの選手たちとは身体つきが違うなと感じて。日立一の選手はポール間を20本走ってから試合をしていたのですが、全く疲れていないように見えました。何か特別なことをしているのかと聞いたら専門家のもと食トレをしていると。さっそく採用したのですがすぐに異動になり、効果は分かりませんでした。それでも石橋も日立一も境遇はよく似ていると思ったので、こちらでも取り入れてみることにしました」。

食事だけが要因ではないだろうが、石橋は福田監督の就任後に一気に結果が出始めることになる。16年の秋は文星芸大附、白鴎大足利を次々と破り県大会で準優勝。関東大会でもセンバツに出場した東海大市原望洋を相手に善戦し、21世紀枠の関東地区代表にも選出されたのだ。食トレによる効果を福田監督はこう話す。


冬場の平日はグラウンドが使える時間が短いため、土日にボールを使った練習を多く取り入れている。

「以前も食事が大事だと思ってはいたのですが、とにかく量を食べなさいとしか言えませんでした。それが専門家にみてもらうことで何をどれだけ食べればよいかということがはっきりする。選手の意識も変わったと思います。なにより、身体が大きくなると自信がつくということも大きいですね。プレーの面でも身体が大きくなったからこそできることが確実に増えてきますし、大きなケガをすることも減りました」。

公立高校ならではのやり方で打倒強豪私立を目指す

新チームで臨んだ秋の県大会では3回戦で夏にも敗れた青藍泰斗に大敗を喫した。旧チームのような投手の大黒柱を確立できなかったことが響いたそうだが、それでもこのオフには手応えを感じる出来事があったという。

「同じ小山地区の8校の選手が集まって、野球に関することを競い合う競技会というのがあるのですが、今年はうちがトップでした。例年は小山高校さんが強いのですが、それを上回れたのは選手も自信になったと思います」。

前述したように石橋は県内でも屈指の進学校である。平日は7限まで授業がある日が多く、練習時間は長くはない。また、選手全員が自宅から通っているため、食事面をはじめとする保護者の協力は必要不可欠だ。

「すぐに結果が出たということもあって、保護者も本当によく協力してくれています。あと最初の説明会の時に、きちんと食事をとることは勉強にも繋がるという話をしたことも効果があったのかもしれません(笑)」。


ランニングメニューは負荷をかけながら、フォームを意識している。

バッティングでは細かいフォームよりも、力強く振り切ることを重視して取り組んでいる。

練習中も監督、部長から意見を求められることも多く、対話する姿が頻繁に見られた。

食トレの効果もあって、着実に実力をつけているが、強豪私立との差はまだまだ小さいものではない。しかし福田監督は公立高校ならではのやり方で私立に勝つ方法を常に模索しているという。

「時間は限られていて、私立と同じことはできませんし、ある程度は絞って取り組む必要がある。勉強するために睡眠不足になる選手も多く、冬場は身体を大きくするために朝練もやめました。それでもやり方次第ではあと一歩のところまで行けるということを示し続けて、進路を考えている中学生たちに甲子園を目指せるチームだと思ってもらいたいです」。

私立と違うやり方でもポイントを絞り、効率的な練習でレベルアップを図る。あと一歩に迫った甲子園を目指して、石橋の挑戦は続いている。

野球部・監督 福田 博之(ふくだ ひろゆき)
1965年生まれ。栃木県芳賀町出身。真岡〜宇都宮大。母校の真岡、宇都宮北などで監督を務めたあと、2016年4月に石橋に赴任し同年秋にはチームを関東大会出場に導いた。

管理栄養士のお弁当チェック

「ごはんをしっかり食べるために、白いごはんの上にいろいろなおかずどっさりのせた「のっけ弁」。カラフルな野菜は食欲をそそるので、緑のほうれん草や赤いプチトマトをのせ、インスタ映えを意識しながら彩りをきれいにしましょう。ビタミンCの補給に100%オレンジジュースを付けるのも食トレ界の常識」。
全員が自宅から通いのためお弁当を持参。寒い時期は身体を大きくするために、おかずは肉類中心の選手が多かった。不足しがちなビタミンはオレンジジュースで補う。

Close Up Player:遠藤薫くん(3年/遊撃手)

もともと食べるのが好きというタイプではなく、意識を持って食トレに取り組むようになったのは高校に入ってから。「夏場は食欲が落ちるので大変ですが、この冬は順調に体重が増えていて、トレーニングメニューも最後までやり切れるようになりました。毎月計測がありますが、(キャプテンの)自分が増えていないと示しがつかないので、最近は特に意識するようにしています」。

  入学時 現在
身長 175.1cm 176.1cm +1cm
体重 55.6kg 71.9kg +16.3kg
体脂肪率 5% 15.8% +10.8%

Close Up Player:鈴木俊祐くん(3年/投手)

「1年生のときは食べてもなかなか体重が増えなかったのですが、最近ようやく身体が大きくなった実感があります。休み時間に補食をとること、そして体重計を自分の部屋に置いて毎日必ず測ることを実践しています。プレーの面では秋に比べるとこの冬でスピードも上がったと思います。このまま継続して、春以降はもっと力強いボールを投げられるようにしたいです」。

  入学時 現在
身長 168.9cm 170.0cm +1.1cm
体重 52.5kg 68.5kg

+16kg

体脂肪率 10.3gg% 16.1% +9.5%

Close Up Supporters:家族も実感する球児の成長ぶり


保護者会長遠藤宏紀さんと遠藤妙子さん

保護者会長で、Close Up Playerでも紹介した遠藤薫くんのご両親。ご自身も野球をされていた父の宏紀さんの目には「高校に入ったときはかなり食べる量が少なくて、やっと普通になった」と映っているという。母の妙子さんは、食べるのに時間がかかる薫くんのことを考えて、お弁当以外に持たせるおにぎりは早く食べられる小さいサイズのものを用意するなどの工夫をしている。勉強に割かれる時間も少なくないため、「家に帰ってからは睡魔と戦いながら何回かに分けて食べています」(妙子さん)というように進学校ならではの苦労もある。意識が変わったのはキャプテンに就任してから。他の選手への影響も考えて取り組みも変わってきたそうだ。両親の厳しくも温かい目に見守られながら、夏に向けて主将としてさらにチームを牽引してくれることだろう。

栃木県立石橋高等学校DATE
所在地:栃木県下野市石橋845
学校設立:1924年
主な戦歴:2017年秋・栃木県大会3回戦、2017年夏・栃木大会ベスト8、2017年春・栃木県大会ベスト4

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