カラダづくり

【札幌南】食トレによる身体づくりはケガの予防にも効果的

2018.4.25

東京大学や京都大学など、超難関国立大学に多数の合格者を出すなど、道内屈指の進学校である、札幌南高校。甲子園に3度の出場経験があり、全道大会の常連校でもある。常に〝根拠ありき指導”をモットーに部員と向き合う池田監督のもと、保護者の理解を得て食トレを推進。3年目のシーズンが始まる。


まず”食べる練習“でポテンシャルをアップ

1895(明治28)年に札幌尋常中学校(のち旧制札幌一中)として開校した札幌南高校は、毎年東大、京大にそれぞれ10人前後、北海道大に100人超の合格者を出す道内屈指の進学校として知られている。昨年度、野球部からは現浪合わせて医学部に5名の合格者を送り込むなど、厳しい練習と学業を両立させている部員たち。近年は学校全体の学力のレベルがますます向上。スポーツ推薦とは無縁ゆえに、部員の確保も難しい状況のなか、「強いときも、そうでないときも、部員たちが目指しているのは、甲子園出場! そういう気持ちで一生懸命練習に励んで、ストレートに夢を語れるのがうちの部員のいいところなんです」と語るのは、今年野球部監督に就任して11年目となる池田賢監督だ。


真っ白な真冬のグラウンドにて集合写真。1、2年生合わせて32名が食トレに取り組んでいる。

食トレを開始したのは平成28年からで、今年3年目のシーズンを迎える。
「専門家による食トレを導入したことにより、自己負担の費用が発生するため、食トレは部の強制ではなく、希望者のみ導入する形をとりました」。

現在は全部員の9割が食トレを導入し、栄養管理を含む食事指導を受けている。
中でも学業最優先で中学時代を過ごしてきた1年生の身体は小さく、入学後すぐに野球ができるようなパワーは備わっていない。よって、それを踏まえた練習メニューを組んで、夏までに徐々に身体づくりをしていくという。

「夏休みの練習までは実質ウォーミングアップのようなものです。練習時間と練習量に慣れるところから。それでも疲労感が強く、ご飯が食べられなくて、体重が目減りしてしまう子も。食事からのエネルギー補給が十分でなければ、当然身体は痩せていくわけです。悪循環を何とか打開して、夏の試合に勝つことを目標にしたい。そのためにはまず身体づくり。”食べる練習”は、筋力アップを目指す前段階に必要なものです」。


雪が降っていない日はグラウンドでウォーミングアップ後、ウエイトトレーニングへ。

部員が一丸となって取り組む食トレは気持ちの”栄養“にも

「彼らには、一方的な指導は響きません。だから僕自身、根拠を示して、それに基づいた練習メニューの提案を行っています。それが南高の野球部のスタイルだからです。その代わり納得したらとことん努力するのが彼らのすごいところ。そういう意味でも、しっかりとした根拠に基づいて行われる食トレは、彼らにぴったり合ったのだと思います」。

月に1度体重や筋肉量を測定し、過去のデータと比較・分析をしたり……。その結果に毎回部員たちは興味津々なのだとか。現在チームの平均体重は69㎏前後。3月までに72〜73㎏を目指している。

食トレをきっかけにチームに一体感が生まれ、野球に真摯に向き合う姿勢や、自分の身体に対しての意識も高まってきた。


タイムキーパーや試合のデータ収集など、部員の練習をサポートするマネージャーたち。食トレを始めてから、クリスマスやバレンタインには部員全員に低糖質のスイーツを手づくりしているのだとか。

冬期間は他の運動部と体育館をシェアして、ポジションごとのトレーニングを行う。

自分の筋肉をより効率的に使いながら、しなやかに身体を動かすトレーニングに「よさこいソーラン節」の踊りを取り入れている。

「彼らの食生活は一変しました。お菓子や菓子パンの類はほとんど口にしませんし、マネージャーたちの協力もあって、今はチーム一丸となって食トレに励んでいます」。

だからこそ、体格の変化はもちろんのこと、球威・打球のスピードアップなど目に見える形で成果が出たときには、チーム全体の士気も上がる。
「身体を大きくしてパワーアップさせる。それは同時にケガをしにくい身体づくりにもつながります」。

ケガの予防は保護者の理解を得る上でも、大きな魅力だったと振り返る。

またトレーナーから語られる強豪校の練習メニューや心構え、選手たちの食生活などの情報も部員たちを刺激する。全国トップの厳しさを知ることで、部員たちのモチベーションはますます引き上げられているという。

「目指すは甲子園出場!」 今は無謀に思える夢も、彼らなら奇跡を起こしてくれそう、そんな期待感に胸が膨らむ。札幌南高は今年も北の大地の高校野球を熱く盛り上げてくれるだろう。

野球部・監督:池田 賢(いけだ けん)
1967年生まれ、網走市出身。網走南ヶ丘〜筑波大。大学野球を経て、卒業後は道立高校の監督を歴任。札幌南高校の野球部監督就任11年目。

管理栄養士のお弁当チェック

愛情が詰まったいろどり鮮やかな高橋佑真選手(2年生)のお弁当。
「肉・魚・卵と動物性たんぱく質がバランス良くそろった、筋肉づくりを意識した内容ですね。緑と赤の野菜(ビタミン・ミネラル)もしっかり入っているので効率良く筋肉ができます。ただ、いちごは入っていますが、果物が不足ぎみ。果汁100%オレンジジュースでビタミンCを補うようにすると、筋肉だけでなく関節強化にもいいと思います」。

Close Up Player:萩原弘治くん(3年/外野手)

「体重が本格的に増えたのは、冬のオフ期間に入ってからです。以前は朝は菓子パンを少し食べる程度でしたが、今は自分で食材について調べたり、トレーナーさんのアドバイスを受けて、バランスを意識した食生活を心がけています。身体が大きくなって一番感じるのは「インパクト音の変化」。腕や太ももに筋肉がつき、パワーのある強い打球が打てるようになりました」。

  入学時 現在
身長 169cm 173cm +4cm
体重 59.0kg 71.4g +12.4kg
体脂肪率 16.0% 20.1% +4.1%

Close Up Supporters:食トレで“強い”身体づくりをサポート


保護者会 会長 野村啓介さん

食トレについて、はじめてトレーナーさんからレクチャーを受けたときは、昔の高校野球のイメージとは全然違ったトレーニングの必要性に正直、驚きました。強制ではなく、自主的に取り入れられる仕組みも“校風”の通り。各家庭で食事を管理できる場合は、あえて必要ないという前提で取り入れたのも、よかったのだと思います。わが家の場合はお弁当、日々の献立、さらにボリュームなどの面で専門家のアドバイスがとても参考になるようで、妻はいろいろ苦労しながらも楽しんで、息子の食トレをサポートしています。おかげ様で息子の身体も少しずつ大きくなり、だいぶ筋肉質になりました。雪解け後にはいろいろな効果を実感できるのかな……。親としてはそれを楽しみに、これからも応援していきたいと思っています。

札幌南高等学校DATE
所在地:北海道札幌市中央区南18条西6丁目1番1号
学校設立:1895年
主な戦歴:2017年秋・北海道札幌支部予選2回戦、2017年春・北海道大会1回戦、2016年夏・南北海道札幌支部予選代表決定戦

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