カラダづくり

【白河】一度は断念した食トレ、意識改革で再スタート

2018.4.27

大正11年創立の伝統ある白河。2014年に夏の福島大会ベスト4の実績を誇る野球部だが、一度食トレを断念した苦い経験がある。選手たちの食への意識が低下したことに危機感を覚え、昨秋から改めて始めた二度目の食トレは、順調なスタートを切ることができた。白河の食トレ再スタートの真相を聞いた。


的確で説得力がある知識豊富な専門家の助言

高校野球で耳にすることが多い『白河越え』。甲子園の優勝旗が今まで白河の関を越えていないということを意味する言葉だ。奥州三関の一つに数えられるこの関所から少し北上すると、白河のグラウンドがある。

過去には東北大会に出場した経験がある野球部は、雪が残る肌寒いグラウンドで黙々とトレーニングに励んでいた。白河が食トレを本格的に始めたのは昨年の10月からだが、それまでには紆余曲折があったと紺野勇樹監督は語る。


部員数は3年生13人、2年生11人、マネージャー4人の計28人。創部初の甲子園出場を目指している。


「じつは食トレはこれが2回目なんです。前任の監督が食トレを導入し、私が引き継いだのですが、年数が経つにつれ選手の取り組む姿勢が弱くなってしまいました。私の目の届く範囲では一生懸命に食べようと努力するのですが、帰宅した後には定められた量を食べることができない。親御さんも食べることに苦しむ我が子を見ていられなかったんでしょうね。そういったこともあって2016年に一度止めることにしました」。

食トレを止めてから選手の食への意識がなかなか上がらず、悩んでいた紺野監督は昨夏、コンビニで買ったサラダうどんとおにぎりを平然と食べる選手を見て『このままではマズイ』と危機感を覚えた。そこで、選手だけではなく、保護者を同席させ食トレ講習会を開いた。高校球児が一日にとらなければいけない摂取量を、お母さんがしっかりと理解をすることがなにより大切だと思ったからだ。専門家の話に親子そろって耳を傾けることで、食トレへの再スタートは切られたのだ。

「『餅は餅屋』ということわざがある通り、専門家の意見というのは的確で、なにより説得力があります。甲子園に出場するチームの成功例をもとにアドバイスをしてくれました。講習会のあとは、保護者の目の色が変わり、同時に選手の食への意識も高まっていきましたね。今では部に関わる全ての人が同じ目標を向き、食トレに取り組んでいます」。


足の踏ん張りが効きづらい『足袋』を履き、ティーバッティングをする選手たち。

有益な情報を常にサーチ、どん欲に行動するナイン

白河ではマネージャーが毎日、選手たちに補食をつくっている。モットーは『温かく美味しく』。2年生マネージャーの鈴木栞莉さんは、担当のトレーナーからレシピを教えてもらっているという。月に1度の訪問指導では、紺野監督も思わず「へぇ」と驚いてしまう栄養知識が手に入る。市内有数の進学校ということもあり、選手たちの知識欲は高く、専門家の説明に対し、質問をすることも多い。

「選手には野球に役立つ知識を求め、日々行動して欲しいと思っています。今年のオフは初の試みとして、選手を他校の練習に参加させました。そこで体験したことを部に持ち帰り、練習メニューに役立てる。食トレで学んでいるように、自分たちにとって有益な情報を積極的に取り入れていく習慣は、彼らの今後の野球人生にとっても大切なことだと思います」。


取材当日は休日練習。補食として茄子とピーマンのマーボー炒めと、かぼちゃのスープをマネージャーがつくっていた。食トレのおかげで料理の腕前は日々向上しているという。

オフで追い込んだ肉体、春の大会が待ち遠しい

厳しいオフの期間も、個々に決められたごはん量と、バランスのよい食事を心がけた。選手たちの肉体は日に日にたくましくなっている。
「意識が高ければ体重だけではなく、野球に必要な筋肉量も必ず上がります。オフは食事とともに、筋肉量を上げるトレーニングにも力を入れました。食トレで選手たちの意識を変えることができたので、今年のオフの身体づくりには手ごたえを感じています。春の大会で選手たちが暴れてくれることを期待したいですね」。

スピードスケートのような動きで行う下半身強化のトレーニング。グラウンド脇には室内練習場が完備されているため練習環境はバッチリ

食トレ再スタートを切った3年生の高校野球生活も、あと約半年で終わりを告げる。だが、白河ナインに根づきつつある食の意識は、これからも絶えることなく続いていくだろう。

野球部・監督:紺野勇樹 (こんの ゆうき)
1981年生まれ。福島県いわき市出身。磐城高校から山梨学院大学へ進学し、関甲新一部リーグ内野手として活躍。卒業後は県内の浪江を経て、2013年白河に赴任。

管理栄養士のお弁当チェック

お肉と野菜類がバランスよく入ったボリューム満点のお弁当。
「野菜は肉と一緒に炒めることで食べやすく、ご飯のおかずにピッタリですね。卵焼きに海苔を挟んでいるところもお母さんの工夫を感じられます。ほうれん草にはビタミンが豊富に含まれており、れんこんに含まれるムチンは疲労回復に効果的です」。

Close Up Player:折笠大軌くん(3年/外野手)

一番を任される折笠くんは食トレでも成長率がチーム1だ。「食トレでバランスのよい食事をとることの大切さを学びました。入学時に比べ体重が10キロ増えましたが、50メートルのタイムは0.5秒速くなりました。他校でプレーする友人から『打席での雰囲気が変わったな』と言われ、嬉しかったです」。食トレをすることでパフォーマンスが上がり、意識がガラリと変わった。納豆は1日3パック、朝と昼にはカルシウムを補うためにチーズとひじきを食べるのが日課だ。「今後は打球の鋭さを上げていきたいです」。打撃に磨きをかける切り込み隊長が食トレでもナインを引っ張る。

  入学時 現在
身長 168cm 172cm +4cm
体重 60kg 72.5g +12.5kg
体脂肪率 13% 14% +1%

Close Up Supporters:
専門家の講習会で食トレの大切さを実感
朝5時からのお弁当づくりで息子を支える


選手のお母さんたち

専門家の講習会を受け、食トレへの不安がなくなったと語るお母さんたち。料理をつくる保護者、それを食べる選手が同席したことがなによりよかったと口をそろえる。「講習会で得た知識をフル活用し、家族全員がバランスのよい食事を実践できています」(大木さん)。「レシピを専門家から直接聞けて、今では息子が栄養を理解して食べています。食の知識をさらに深め、ケガをしない身体になってもらいたいです」(鈴木さん)。「『もっと果物を増やして』など、息子からリクエストをされるようになりました。今は理想体重をオーバーしているので、炭水化物をセーブ中。筋力量を上げていってほしいです」(折笠さん)。朝練があるため、お母さんたちは毎朝5時に起きてお弁当をつくっているとのこと。夜明けとともに台所に立ち食トレに励む息子を日々支えている。

白河高等学校DATE
所在地:福島県白河市南登リ町54
学校設立:1922年
主な戦歴:2017年秋・福島県大会ベスト16、2017年夏・福島大会1回戦、2017年春・福島地区大会1回戦

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