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【下妻第一】食トレがチームの柱、継続の大切さを学んだ

2018.4.20

創立120周年を迎えた伝統ある下妻第一のグラウンドでは、選手たちが充実した表情でオフシーズンを過ごしている。強豪校との距離を少しでも近づけるため、約2年前から始めた食トレ。今では食トレが「柱」となり、部を支えるようになったというが、一体どのようなことが起きたのだろうか。監督に話を聞いた。


甘い誘惑に負けない高い意識が部に浸透

明治30年創立という県下でも有数の伝統を誇る下妻第一。野球部は甲子園の出場経験こそないものの、昨年の夏の県大会では、関東有数の強豪校である霞ヶ浦と接戦に持ち込むほどの実力がある。取材当日は手がかじかむほどに気温が低い2月上旬。しかし、寒さに負けることなく、グラウンドではたくましい身体つきをした選手たちが大きな声をあげ走り回っていた。監督に就任して約8年の本田智哉監督は「食トレを始める前は身体が小さく、見ていて心配なくらいに細かったんですよ」と笑顔で振り返る。今の彼らの姿からはまったく想像ができないそうだ。

部員数は2学年合わせて選手23人、マネージャー2人。

「きっかけは石岡第一の川井監督からの紹介です。それまで強豪校と対戦すると、どうしても力負けしてしまうことが多かった。疲労がピークに達する夏は大事な時期なのに、特にバットが振れませんでした。そこで、最初は希望者だけでもいいから食トレを始めてみませんか、と保護者の方に提案しました。当初は不安な気持ちがあった保護者たちからも、理解が深まるにつれ多くの賛同を得ることができました。今では部全体で食トレに取り組んでいます」。

食トレが見事なまでにスムーズに浸透した理由に、部の士気が上がったという点がある。始める直前の秋の県大会では地区大会で一回戦負け。『まずは県大会進出』といった選手たちの目標が、食トレを始め徐々に体重が増え、体力がついたことで『県大会で勝つチームになる』という目標にいつしか変わっていった。努力をした分だけ日に日に増える体重、そしてパワーとキレが増す肉体を一番実感したのは選手たち自身なのだ。

(右)メディシンボールを使った練習。取材当日はグラウンドコンディションが不良だったため選手たちは空いているスペースで精力的にフィジカルトレーニングに励んでいた。/(左)バドミントンのラケットを使ったシャドーピッチング。ひじの使い方をチェックしながら理想の投球フォームをつくり上げる。

「あるとき、食トレの課題をクリアしたということで、ご褒美に甘いものを選手たちにプレゼントしようとしたら『いただけません』と断られて(笑)。意識がガラリと変わったと実感しましたね。野球は技術系の練習など、なかなか成果が出にくい部分があります。ですが、食トレで継続する大切さを学び、練習も我慢して続けられる。食トレが部の柱となって支えているからこそ、さまざまな誘惑に負けることなく、甲子園という目標に向き合えています」。

さらなる高みを目指しあと一杯へのチャレンジ

食トレを継続をするためには、統制の取りやすいグラウンド内だけでなく普段の生活が肝心となるが、保護者の熱心な協力により、ナインはバランスのよい食事を徹底しているという。昼食用に持ってくる飲み物も、果汁100パーセントのオレンジジュースが大半。以前は買い食いがメインだった家庭でも、お母さんが手作りのお弁当を持たせてくれるようになったという。毎日マネージャーが焚き、練習中に食べる一人一合のご飯も、保護者会が団結して資金を集めてくれている。

「以前は食事に対して口酸っぱく指導していたのですが、食トレを始めてからは各自に任せられるようになりました。継続にはやはり自主性がカギとなります。選手たちのお弁当箱も気づけばみんな大きくなっていました」。

ティーバッティングを行う選手たちはスクワットティーや連ティーなどを織り交ぜ、バリエーションが豊富。スイングスピードの向上を目指している。

しかし、夢の甲子園出場への課題はまだまだ山積みだ。長期休みには体重が減ってしまう選手が多い。受験勉強の時間も必要なため、練習も遅い時間までは不可能。補食の時間を挟みつつ、練習の効率性を上げなければいけない。そして、本田監督は最後にこう力強く言った。

「夏までに食べる意識をもう少し上げていかなければいけません。苦しくても『あと一杯』というチャレンジ精神を持ってくらいつく姿勢を求めています。夏になれば否が応でも体重は減る。重い身体を動かすことに慣れれば、軽くなったときにさらにキレが増すはずです。全国レベルの投手のストレートに振り負けないようなスイングを身につけることができれば、夏はよい結果を残せると思います」。

たった2年間で部を大きく変えた食トレ。食べる習慣がナインには確実に浸透している。意識をさらに高め、茨城を熱くする存在へと成長して欲しい。

野球部・監督:本田智哉(ほんだのりちか)
1961年生まれ。宮崎県出身。下妻第一を卒業後、茨城大学に進学。境西→古河第三→総和を経て、2008年から母校に赴任。2010年から監督を務める。担当教科は数学。

管理栄養士のお弁当チェック

「食トレの新常識“うどんは汁物!”を採用したお弁当ですね。「うどん」×「チーズ」は意外においしいので、ぜひ試してみてください。明太子をプラスすればクリーミーになります。また、おかずにひじきと大豆の煮物を入れているので、白いごはんも進みますし、大豆たんぱく質の補給もばっちりです」。
炭水化物をしっかり摂取するために、ごはんとうどんをダブルで持参。

Close Up Player:岡田隼樹くん(3年/外野手)

食トレを始めて体重が20キロも増えた岡田くん。効果を一番実感したのは打撃面。「打球に自信が持てるようになりました。レベルアップしたと実感しています」。一度に多く食べるのが苦手だったため、間食の回数を増やし体重アップに努めた。一日のご飯量は2500グラムを超える。「諦めずにコツコツと続けるのが大事。体脂肪を増やすためにチーズを毎日食べています。夏までに体重を84キロに増やし、ホームランを二桁打てるような選手になるのが目標です」。食トレで身についた自信と、肉体を武器に高校生活最後のシーズンに挑む。

  入学時 現在
身長 182.8cm 184cm +1.2cm
体重 60.6kg 80.6kg +20kg
体脂肪率 6.6% 16.1% +9.5%

Close Up Supporters:保護者も感じた選手の線の細さ


左から 三谷定幸さん(前・保護者会長)、高橋照美さん(現・保護者会長の奥さま)、三谷裕加子さん

食トレを始めていつしか不安は安心感に変わった

保護者会の前・会長である三谷定幸さんと、奥さんの裕加子さん。そして、現・会長の奥さんである高橋照美さん。食トレ導入前は他校と比べると子どもたちの身体の線の細さが目立ったという。「食トレ導入にみんな不安はあったけれど、反対の意見はありませんでした。必要性を感じていたのかもしれません」(定幸さん)。「始めてから目に見えて身体つきが変わっていきました。目標体重や体脂肪に数値が近づいて喜ぶ姿は親としても嬉しい。いつしか不安は安心感に変わっていましたね」(裕加子さん)。「野菜中心になり、栄養価の高い鶏肉を頻繁に使っています。息子に合わせたつもりが、家族全員が健康的な食事になりました」(照美さん)。食欲が落ちてしまう夏場は、お母さん同士で成功談や失敗談について情報共有することも多い。保護者会も一致団結し、ナインを支え続ける。

下妻第一高等学校DATE
所在地:茨城県下妻市下妻乙226-1
学校設立:1896年
主な戦歴:2017年秋・茨城県大会地区予選1回戦、2017年夏・茨城大会ベスト8、2017年春・茨城県大会ベスト16

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