カラダづくり

【九産大九産】激戦区・福岡を制する食トレが導く強さとは

2018.4.5

高卒ルーキーで昨季プロ初登板を果たしたヤクルト・梅野雄吾投手の出身校である九産大九産。これまで7人のプロ野球選手を輩出してきた同校は、食トレを通じて肉体改造、パワー向上に励んでいる。プロの世界で活躍する先輩の背中を追いかけ、選手たちは1977年夏以来、2度目の甲子園出場を目指す。


体重増で飛距離がアップ
選手たちは効果を実感

「身体が小さいと高校野球は戦い抜くことができない。4、5年前くらいからそう感じ、この食トレプログラムを取り入れるようになりました」。コーチ、部長としてチームを14年間支えている大段朋也部長が、九産大九産の「食トレのきっかけ」を話してくれた。

「就任当時は、食事や補食は選手任せでしたが、今はインターネットでいろいろと調べられる時代。情報量も増え、選手の食に関する感心が自然と高まるようになりました。そんなムードもあり、うちでも本格的にやろう、となったわけです。夏の福岡大会は8回勝たないと優勝できません。消耗される体力というのは食事が土台になっていますので、食べることでよりパフォーマンスを上げていこうと考えたわけです」。

四番を打つ主将の藤江優希選手(3年)はチーム屈指のパワーヒッターだ。飯塚市内にある野球部専用グラウンドでは、左翼中段まで打球を飛ばし、昨秋は公式戦で本塁打も記録した。「入学時はパワーがないなと思っていたんですけど、食トレを始めてから体重が10キロ増え、身体つきが変わっていきました。足も速くなり、今ではチームの中心選手です」と大段部長は目を細める。

一番センターの俊足選手、荒木大翔選手(3年)は食トレで身体が大きくなり、なんとラグビー部から誘いがあったとのこと。1年秋からメンバー入りし、食トレ効果で、場外本塁打も打てる切り込み隊長として活躍している。二日市ボーイズの先輩である田中賢介選手(日本ハム)のようになるのが目標だと自信を持った表情で語ったのが印象的だ。


(写真上)集合写真では持ち前の明るさを発揮! チームワークがよく、元気が自慢だ。
(写真下右)選手たちは普段、校舎のある筑紫野市からバスで約40分かけて飯塚市の専用グラウンドに通う。取材当日は雪のため、校内の運動場でキャッチボールや、筋力トレーニングなどを行った。
(写真下中)今年は降雪日が多く、実戦的な練習ができない日が多いが、選手たちは課題を持って体力強化に取り組んでいる。
(写真下左)セミナーを熱心に聞く選手たち。担当トレーナーから甲子園常連校の取り組みなどを学び、自分たちとの意識の差や、これからの課題に真剣に向き合っている。

他にも「強化食を毎日飲んで9キロ体重が増えたことがうれしい」(田中大智選手・3年)、「送球が速くなったので、甲子園では外野から走者を刺したい」(岩見武竜選手・3年)、「中学のときはケガが多かったけど、食トレでケガをしなくなった」(岩?竜二選手・3年)、「入学時から体重が8キロも増えてパワーがついた」(ケリー斗夢選手・2年)、「食トレの大切さを学んでから、毎日学校でお弁当を2個食べ、体重を増やしています」(内山慶人選手・2年)と、選手によって食トレの効果をさまざまな形で実感している。

ナインが憧れる先輩も
食トレで大きく成長

九産大九産ナインには他校に自慢できる憧れの“先輩”がいる。昨年高卒ルーキーとしてセ・リーグ最速一軍出場を果たしたヤクルトの梅野雄吾投手だ。高校2年生の秋に、175センチ80キロの身体で最速149キロを計測。チームを九州大会出場に導いた押しも押されぬ大エースだった。現在58人いる3年生は、梅野投手の活躍を見て、彼に憧れ入学した選手が多い。頼もしい彼と同じユニフォームを着て、同じグラウンドに立ち、41年ぶりとなる甲子園出場を夢に描いていたのだ。しかし、梅野投手は入学当初からプロに行ける逸材ではなかったそうで、当時は寮生活を送るごく一般的な選手だった。

「梅野は入学時165センチ、体重も60キロ台しかなかったと思います。でもいつも二言目には『プロに行きます』と口にしていました。練習に取り組む意識が非常に高かった。身体づくりに関しても積極的にご飯を食べていた姿が印象的でした。身体もみるみる大きくなり、平川剛監督の人間教育と、本人の地道な身体づくりの結果、選手として大きく成長できたんだと思います。今年のチームは、決して野球が上手い子ばかりではありませんが、とにかくチームメイトの仲がよくて明るいのが特徴ですね。例え失敗をしても、全力で一生懸命プレーをするのが持ち味です」。

甲子園出場は1977年夏以来遠ざかっているが、近年は秋の九州大会に2度出場、09年には福岡の21世紀候補に選ばれるなど実績を残している。アクセスが良く、県内人気の私学中堅校で、2学年86人の大所帯だ。春には新入生を迎え、さらにマンパワーがみなぎる九産大九産が“あと一歩の強さ”を求め、食トレから底上げする。

野球部・部長 大段朋也 (おおだん ともや)
1981年生まれ。福岡県福岡市出身。福工大城東から国際武道大へ進学。在学中8季連続全国大会を経験。卒業後、九産大九産でコーチを経て部長に就任。担当教科は体育。

管理栄養士のお弁当チェック

「カレーには食欲増進効果があり、たんぱく質と野菜がしっかりとれる優れもの。ただし脂質は消化に時間がかかるので、運動直前は控えましょう。一口サイズの海苔巻きは、食べやすく補食にぴったり。海苔は海の野菜と言われ、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、毎日食べることでコンディショニングに役立ちます」。
カレーライスと海苔巻きで炭水化物をしっかり摂取している。

Close Up Player:河野聡太くん(3年/遊撃手)

1年夏からショートでメンバー入りし、チームでは三番を任されている河野くん。「夏の大会で足がつったり、最終回にスタミナが切れてしまった」と実感し、食トレに力を入れようと決心。実践しているのは夜食の餅だ。寝る前に餅を3、4個焼き、きなこやチーズマヨネーズを和えて食べる。体重も増え、打球の飛距離が伸び、スローイングの速さ、捕球時の球際の強さにつながったと言う。「大学でも野球を続けたいので、あと5キロ増やしたい。糸井選手(阪神)のような身体が目標です」。副キャプテンも務める河野くんの食トレはまだまだ終わらない。

  入学時 現在
身長 174cm 178cm +4cm
体重 62kg 72kg +10kg
体脂肪率 8% 14% +6%

Close Up Supporters:保護者の皆さん


鶴崎郁子さん、伊藤千春さん、鶴崎悟さん(保護者会長)、高橋直子さん、荒木留美さん(左から)

各家庭お母さんたちの工夫が光る食トレ
選手を大事に思う気持ちは負けないぞ!

寮生と自宅から通う生徒がいる九産大九産。食トレには各家庭のお母さんたちの工夫が光っている。「魚のたんぱく質が身体にいいと聞いたのでこの前、塩サバの巻き寿司をつくりました。お弁当と合わせて1食で米3合分はありました」(留美さん)。「2リットル入りの容器いっぱいにご飯をつめて、野菜が多くとれるようビビンバにしました」(直子さん)。「ウチの子は減量が課題なので、肉の余分な脂身は切って野菜が多めのおかずにしています」(千春さん)。「寮生活なので、日曜日は寮生のお母さんと相談し、手づくりのおかずを15人前つくって持って行っています。ハヤシライス、ハンバーグ、麻婆豆腐などバリエーションは豊富ですよ」(直子さん)。テーマは“美味しく食べてもらうこと”。食のサポートでチームを勝利へ導く!

九州産業大学付属九州産業高等学校DATE
所在地:福岡県筑紫野市紫2-5-1
学校設立1961年
主な戦歴2017年秋・福岡県大会4回戦、2017年夏・福岡大会4回戦、2017年春・福岡県大会ベスト16

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