カラダづくり

【愛知】フィジカルの重要性を食トレで改めて実感

2018.4.17

国民的英雄、大リーガー・イチローを生んだ野球王国愛知の地において、多くのプロ野球選手を輩出してきた古豪、愛知高校。近年は遠ざかっている甲子園への切符を再び手に入れるため、フィジカルを鍛え直し着々と力をつけつつある愛知高校の食トレを取材した。


「身体を大きく」から着手した食トレ

愛知高校は全員が自宅からの通学生。かねてより練習中の補食や、家での食事も「しっかり食べさせてください」と保護者にお願いをしていたが、いまひとつ身体が大きくなってこないところが懸念だった。そんなときに専門家による食トレを紹介してもらい、詳しく話を聞いてみて、導入に至った。もう8年も前の話だ。

自身も愛知高校出身の錦監督。大学卒業後に一般企業に就職したが、恩師である前任監督から声がかかり、会社を退職。教員として母校に帰ってきて、監督に就任し、チームを引き継いだ。


部員は3年生19人、2年生27人とマネ兼学生コーチ1人、マネージャー2人の合計49人。

「食トレの苦労は?」の質問に返ってきた答えは意外なものだった。「学校の指導方針で、授業の合間の休み時間に間食ができないこと」だという。

曹洞宗の設立になる愛知高校は禅的教えを基にした教育方針をもつ。食事も修行の一つという考え方のもと、特有のマナーやルールがあり、昼食時にはクラス全員で感謝のことばを述べ、食事をいただくことになっている。

「食が細い子は食事の回数を増やすと量が食べやすいのですが、それができないんですよ。1度の食事で量を食べられない子は苦労しています」。

授業時間数の多い進学校。平日部活動に割ける時間は短い。食トレを実践する多くの学校で授業と授業の合間に補食をとる姿が見られるが、愛知高校の野球部員たちは学校にいる間は昼食の他には、練習前や練習の合間にパパッとおにぎりなどの補食を口にする。

食事・栄養の知識をつけ選手たちの意識も向上

中高一貫校であるが、野球部に関しては内部進学者よりも外部から来たクラブチーム出身者が多い。クラブチームによっては中学校時代からご飯の量の目標を立てているところもあるが、せいぜいが身体を大きくするためにご飯をたくさん食べるように、という程度。本格的な食トレを始め、毎月専門トレーナーの指導を受けるようになって、部員たちはフィジカルに関しての知識が高まり、大きく意識が変化しているという。

監督が期待していた通り、食トレの効果はまず体格の変化に現れた。それにともない飛距離や打球の速度がアップ。プレーに力強さがみられるようになり、以前は頻繁に出ていた腰痛などのケガが減った。部員たちの意識も大きく変わった。身体づくりの重要性を再認識させてくれた食トレは欠かせないものとなっている。


状況を設定したノックでは攻守に分かれてそれぞれの動きを確認。

午後のバッティング練習中には雪が降り出してきた。

「自分たちで考える野球」が愛校スタイル。気になる点があればプレーを止めて全員で確認する。

監督は「例えばオフシーズン/シーズン中の食事のとり方であったり、試合に合わせた調整法など細かなところまで指導していただけるのがありがたい」と語る。

取材当日は数日前に積もった雪が日陰に残り、午後からはまた冷たい雪が降ってくる寒い日だったが、グラウンドを使えるありがたみを感じながら選手たちは練習に励んでいた。年に数回はまとまった雪が降り、積もった雪でグラウンドが使えないときもあるという。学校の敷地内にある野球場は、中学の体育や、中学の野球部が外野の方を使って練習したりもするが、週末は専用で使用できる。名古屋市内で学校から移動せずに使える専用グラウンドを持つ学校はごくわずか。LED照明も設置されていて、設備面で恵まれている。授業後に移動せず練習時間をめいいっぱい使えることで、希望を持って入学してくる生徒は多いという。

以前は規模の大きな男子校だったが、13年前に共学になり、学力にも力を入れる進学校になった愛知高校。近年は遠ざかっているが、かつて春夏合わせて6度の甲子園出場を果たしている古豪。フィジカルを見直すことで生まれ変わり、文武両道の旗を掲げて再びの甲子園の地を目指し、眈々とその機を窺っている。

野球部監督 錦 敦人(にしき あつひと)
1967年4月21日生まれ。愛知県出身。愛知高校から愛知学院大学へ進学。会社員を経て、前任監督からの連絡を受け愛知高校教員に。95年8月より野球部監督。

管理栄養士のお弁当チェック

ボリューム満点! 精がつきそうな2つのお弁当をピックアップ。「どちらのお弁当にもあるたっぷりの緑色野菜は、ご飯をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富で集中力アップに効果的。味噌汁の「味噌」も大豆製品。しかも消化を助ける発酵食品です。補食にチーズや果物(100%オレンジジュース)でカルシウムやビタミンを補えるとさらに◎」。

Close Up Player:渡邊愛世くん(3年/内野手)

もともと体重に関心がなく、体重を計る習慣もなかったという渡邊くん。クラブチーム時代から昼食をたくさん食べるよう指示されていたが、ガリガリだった。一年の夏の大会からベンチに入ってやろうと意気込んで入部するも、先輩の身体つきや打球を目の当たりにし、身体の大きさや強さの必要性を強く感じたという。「食トレの効果は特に打球の飛距離の変化で実感しています。以前は守備が自分のウリだと思っていましたが、今ではバッティングもアピールポイントになりました」と自身の成長を話してくれた。

  入学時 現在
身長 178cm 181cm +3cm
体重 68kg 85kg +17kg
体脂肪率 8% 16% +8%

Close Up Supporters:保護者の皆さん


選手のお母さんたち。丹羽さん、北山さん、阿部さん(左から)

親子で一緒に悩み、工夫し、取り組む食トレ

高校入学まではあまり考えていなかったお弁当の中身。食トレを始めてからは必要な栄養素をバランスよく盛り込みつつ、子どもの嫌いなものをどう食べさせるか、メニューのバリエーションなど、毎日のお弁当の中身には頭を悩ませる日々だと話してくれたお母さんたち。自分がどこまでやれているんだろうと不安も抱いていることを明かしてくれた。

食トレの効果は体重や筋肉量の増加に加え、日に何度も体重計に乗る姿を目にしたりと、選手の意識が向上していることを実感しているという。

子どもたちから身体にいいものや必要なものをリクエストしてくれたり、苦手な野菜もこのメニューなら食べられると提案してくれたり。さまざまな工夫を凝らし、親子一丸になって食トレに取り組んでいる様子が窺えた。

気づいたことにいち早く声をあげてくれる心強い存在の学生コーチと、いつも笑顔でみんなの強化食を準備してくれる気配り心配りが素敵なマネージャーの存在も大きい

愛知高等学校DATE
所在地:名古屋市千種区光が丘2-11-41
学校設立:1876年
主な戦歴:2017年秋・愛知県大会2回戦 2017年夏・愛知大会ベスト8、2017年春・愛知県大会ベスト8

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