学校・チーム

【富島】バテない身体づくりで悲願のセンバツ出場!

2018.4.4

なかなか結果を残すことができなかった富島。濵田登監督が着任後、まず取り組んだのが「食トレ」だ。食事量を増やしたことで、ハードな練習に耐える身体を手に入れた。戦績は体重やパワーの増加とともに右肩上がりで、ついにはセンバツ出場という目標を達成。大舞台を控える活気あるグラウンドを訪ねた。


食事量=練習量
食べた分だけ練習できる

富島の歴史の一ページに確実に記される日づけがある。それは2018年1月26日。野球部が創部70年目にして初となる全国大会出場を決めた日だ。しかし、富島の名が県内でも知れ渡るようになったのはごく最近のこと。前任の宮崎商業で甲子園に出場経験のある濵田登監督が13年に赴任するまで、県大会では初戦敗退続き。赴任当初は試合を成立させるのが精いっぱいのチームだった。そこに濵田監督が持ち込んだのがなにを隠そう『食トレ』だ。

「宮崎商業時代から行っていた取り組みです。技術力向上は確かに必須でしたが、なにより練習に耐えられる身体づくりが先決でした。食トレをすれば身体が大きくなるだけではなく、体力がつき試合でバテない身体がつくれるという確信が私にはありました。食事量と練習量は必ず比例していきます」。

富島には学食がない。選手は平日・休日問わず、部で統一された3リットルのタッパーに、ご飯と色とりどりのおかずをバランスよく詰めて登校をする。お弁当をつくる保護者の負担は大きいものの「食トレを通して野球に集中する環境ができ、雑念に惑わされることなく高校生活を送れている」と語るお母さんが非常に多い。保護者の協力を得ることで、野球部は強豪校への第一歩を踏み出せたのだ。


(写真上)2学年で32人の富島ナインだが取材当日は数名の選手が遠征で不在。チーム一丸となってセンバツ初勝利を目指す。
(写真下右)昨秋の九州大会では投手陣の粘り強さがチームを勝利へ導いた。試合終盤でもバテないスタミナの秘訣は食トレにアリ!
(写真下中)走塁練習では塁間、二塁打など選手一人ひとりタイムを計測。記録に納得いかない選手たちからは「もう一本!」と大きな声がグラウンドに響き渡っていた。
(写真下左)専門トレーナーの栄養講習。冬の期間の食事、インフルエンザ対策などについて、選手たちはメモを取りながら真剣な眼差しで聞いていた。

毎日の食トレと、濵田監督の卓越した指導で成績は見る見るうちに上がっていった。15年秋には創部初となる九州大会に出場。16年春には2度目の出場、そして17年秋には並みいる強豪校を破り準優勝を飾った。赴任後、11人だった部員は現在、2学年で32人。選手たちは熾烈なレギュラー争いを繰り広げている。
「お弁当や強化食の他に、補食として練習前にマネージャーがつくるおにぎりを食べさせています。さらに、保護者の協力のもと、大会前にカレーライスなどの炊き出しも行っています」。

食トレの目的は、野球のためだけではない。濵田監督は選手たちに食の知識を身につけて欲しいと切に願う。これは、高校生活後に待ち構える未来への大切な知識だからだ。
「食トレを通して、栄養バランスのいい食事の大切さや、どのように摂取するべきかなどの知識が身につきます。食卓に野菜を加えることが当たり前のようになれば、高校を卒業し就職したあとも食生活の乱れは起きにくい。選手たちには食トレに力を入れるということは、未来への大事な『投資』だと考えてもらいたいんです」。

食トレパワーで憧れの甲子園へ挑む

取材当日はオフトレーニングの真っただ中。だが、センバツ出場を決めたナインに慢心は一切ない。なぜなら、先の九州大会で準優勝はしたものの、身体づくりには決して満足していなかったからだ。

「たくさん食べてはいるが、九州の強豪校と比べると選手たちの身体はまだまだ小さかったですね。応援してくださった保護者の方も痛感したそうです。全国で勝つためには、もっと食トレに力を入れ、身体を大きくしなければいけません」。

センバツ出場という成果を挙げながらも、濵田監督はより一層食トレを強化する必要があると言う。しかし、やみくもに体重を増やすだけではダメ。ハードな練習でしっかり筋肉量を増やしながら、理想体重へと近づける。技術力向上と同じように食トレも地道な努力が欠かせないのだ。大舞台への出場権は得た。次は初勝利という夢を叶えるため、富島ナインは身体と箸を動かす手を止めない。

野球部・監督:濵田登(はまだ のぼる)
1967年生まれ。宮崎県出身。宮崎商から九州国際大。大学卒業後、コンピュータ会社に就職。4年後に転職し、都農高校に赴任。その後、母校の宮崎商で10年間監督を務め、2013年に富島高校に赴任。わずか2年半で九州大会に導く。18年春には同校史上初となるセンバツ出場を決めた。

管理栄養士のお弁当チェック

「野菜を巻いた肉巻きは、緑色野菜をしっかり食べさせるアイデアが光っています。さらに赤と緑が入ると、彩りと栄養バランスがアップします。お弁当に乳製品を入れるとしたら、チーズが便利。卵焼きに入れたり、ウインナーに切れ目を入れてとろけるチーズを挟んで焼くとご飯に合うでしょう」。

2人分のお弁当。3リットルタッパーのお弁当箱はボリューム満点。

Close Up Player:中村健星くん(3年/外野手)

一日のご飯量が2000グラムを超える中村くんは、食トレが野球のパフォーマンスアップにつながったと語る。「身体が大きくなっていると実感していますし、打球の飛距離や、スイングスピードなど、始める前とでは全然違いますね」。活躍するチームメイトのお弁当の中身をチェックし、専門家のアドバイスを真摯に聞く姿勢が部内でも高評価だ。「好きなハンバーグにしても市販の合い挽き肉では脂身が多いので、ブロック肉を切ってもらっています。朝はお父さんがつくり、夜はお母さんがつくるのが我が家のルール。両親には感謝しかないですね」。お弁当の他にも補食としておにぎりを3つ、そしてタンパク質のある魚肉ソーセージを欠かさない。「今後は体脂肪を筋肉に変えていきたいです。甲子園では親への感謝の気持ちを胸に、最後まで全力プレーを貫きます」

 入学時現在
身長178cm178cm±0cm
体重66.5kg79kg+12..5kg
体脂肪率9.6%13.4%+3.8%

Close Up Supporters:保護者の皆さん

中川 美保さん・矢房 博文さん・山下 雪絵さん(左から)

食トレ効果で抜本的に変わった食卓
センバツに向け食の臨戦態勢突入中

毎日息子のためにお弁当を作る山下さんと、中川さんは「栄養士さんやトレーナーさんの話を聞くまでは、栄養のことなど気にせず食事をつくっていました……」そう、口をそろえる。ところがいまでは食卓にはブロッコリーなど栄養価の高い野菜が増え、食に対する考えが変わった。お弁当づくりは大変だが、食トレに励む息子の姿を見ると自然とやる気が出てくるとのこと。また、息子の頑張りを間近で見る矢房さんは「息子と妻で食事についてディスカッションし、説明会のあとは冷蔵庫のホワイトボードに『食べた方がよいもの、食べてはいけないもの』を書き込むようになりました」と息子の変化に驚く。センバツという大舞台を迎え、ときには『頑張って食べなさい』と叱咤激励しながら保護者も臨戦態勢に入っている。全国で勝つため、さらなる肉体改造を親子で目指す。

富島高校DATE
所在地:宮崎県日向市鶴町3丁目1番43号
学校設立:1916年
主な戦歴:2017年秋・宮崎県大会準優勝、九州大会準優勝、2017年夏・宮崎大会2回戦 2017年春・宮崎県大会1回戦

「食トレ」関連記事

PICK UP!

新着情報