自慢の走塁と長打の融合で甲子園への壁を破る
かつてイチロー選手が「打つ・守る・走る、という野球の3つの要素の中で一番難しいと感じるのは走ること」と言ったように、野球の走塁には奥深いものがある。だが、走塁技術を磨くことで、守る側に回った時に視点が変わることがあると山下監督を支える吉森智一副部長は語る。
「走塁の判断力は相手の動きを注視することから始まります。それは自分が守る時も同じで、相手のランナーを自然と観察するようになるんです。常日頃走ることに意識を向けることで見えてくる景色がある。外野手の守備位置を見て進塁できるか考えることで、自分たちが守る側になってもその考えがちゃんと生きるんです」。
大手前高松ではランナーコーチを“プランナー”と呼び、走塁のプランニングを任せている。監督の指示と、選手の考えを取りまとめる中間管理職のようなポジションだが、試合を左右する走塁面で力を発揮する。相手チームのポジショニングや配球の傾向、投手のクセを観察し、走塁を中心としたゲームプランを組み立てる。このように監督の指示を待つだけではなく、選手たちに主体性を持たせ試合に挑んでいるにはある人のアドバイスがあった。
「昨夏の甲子園で優勝した花咲徳栄の岩井隆監督とお話をする機会があり、色々と意見を参考にさせてもらいました。岩井さんのおっしゃるメンタルな部分に興味を惹かれました。『最後はチーム全員がゾーン(良い緊張感)に入っていけるかどうかにかかっている』と。理論がしっかりしている岩井さんでも、最後の最後はやはりメンタルなんだと。でも、準備がしっかりしているからこそ、良い精神状態になれるわけです。監督の指示待ちではなく、選手たちが主体性を持ち、大会期間中良い雰囲気を自分たちで作られようサポートしていきたいですね」。
「奪進塁」という部のスタイルに甲子園優勝監督のアドバイスを取り入れ、更なる進化を図る大手前高松。創部初の甲子園出場の夢に向かって一歩ずつ進んでいく。(取材・児島由亮、撮影・編集部)
次回は大手前高松の練習をレポートします。
「学校・チーム」関連記事
-
【愛工大名電】「強打」へ舵を切ったチームの地下足袋とトスバッティング2018.7.9
学校・チーム -
【愛工大名電】強打も武器にした紫軍団、「バント練習はしていない」2018.7.6
学校・チーム -
【彦根東】「ないことを嘆くのではなく、あるものを探す」(村中監督)2018.7.3
学校・チーム -
【彦根東】課題を与えて考えさせる、3季連続甲子園を狙う文武両道校2018.7.2
学校・チーム -
【聖心ウルスラ学園】強固な投手陣を作り上げた名物「チャリトレ」2018.06.26
学校・チーム -
【聖心ウルスラ学園】夏へ向けて気を配る、選手たちのコンディショニング2018.06.26
学校・チーム -
【創成館】センバツベスト8チームの走塁練習2018.06.20
学校・チーム -
【創成館】センバツ最多の「5本柱」、複数投手制で夏も挑む!2018.06.19
学校・チーム -
【上尾】「一体感」統率の取れた伝統校の練習風景2018.06.14
学校・チーム -
【上尾】伝統として受け継がれる「人間性を高める野球」2018.06.13
学校・チーム -
【京都成章】私生活をちゃんとすることで野球の技術が上がる2018.05.15
学校・チーム -
【京都成章】アップとキャッチボールが1番大事!目指すは2年連続の甲子園2018.06.14
学校・チーム -
【県岐阜商】ノーステップ打法も健在、鍛治舍監督「勝利の方程式は変えない」2018.04.09
学校・チーム -
【県岐阜商】鍛治舍監督「伝統校だからといって、時代に乗り遅れてはいけない」2018.04.06
学校・チーム -
【日大鶴ヶ丘】野球の本質を学ぶ『107カ条』とデータを生かしたメンバー選考2018.03.26
学校・チーム -
【埼玉栄】名伯楽・若生監督の投手育成論とオフの練習、トレーニング法2018.03.12
学校・チーム -
【大阪桐蔭】「平成最強校」を率いる西谷監督のオフ練習、オフトレ論(後編)2018.01.17
学校・チーム -
【大阪桐蔭】「平成最強校」を率いる西谷監督のオフ練習、オフトレ論(前編)2018.01.16
学校・チーム
- 1
- 2