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【川和】加速を意識する走塁練習、学年関係な行うキャッチボール

2018.4.27

野球部専用のグラウンドはなく、サッカー部や他の運動部とスペースを共有している川和。しかし、限られたスペースでも上手く分割し、工夫を凝らして練習を行っている。効率性を重視し、選手の思考力を育む練習を一部紹介しよう。


一日一日違うテーマを持って練習に取り組む

固定した形に縛られず“勝つ野球”を目指す川和ナイン。練習でも効率性を重視するとともに「なぜいまこの練習を行っているのか?」という疑問を選手自身で解決して欲しいと伊豆原監督は言う。

「例えばノックにしても、基本を身につけるノックと、実戦でアウトを取るノックがあります。実戦のノックでは、とにかくアウトを取ることが先決なんです。キレイな捕球姿勢が大事なのはわかりますが、まずはアウトを取ることに集中しなければいけない。そのため、ランナーが今どこにいて、どこの塁でアウトを取ることができるのかを考える必要があります」。



実戦を想定して、冷静に状況を頭で整理し、とにかく一つのアウトを取るためにプレーする。選手たちはノックを受けたらボーと自分の番を待つのではなく、チームメイトのプレーもしっかり見て、そのプレーは正しかったのか選手同士で指摘し合い、考えを修正していく。

フライ捕球の練習にしても、マシンを使って今日は高い打球を後ろから走って捕球する、今日は低いライナー性の打球を一歩でも前に出て捕球するなど毎日違うテーマを持って取り組む。同じような打球が毎回飛んでくるということはありえない。ドライブした打球もあれば、横に切れていく打球もある。勉強と同じく応用に慣れることが必要だ。一日一日違うテーマを持って練習に取り組むことで技術を底上げしている。

加速をつけるベースランニング

ベースランニングの練習では選手53人が一塁、二塁、三塁と3ヵ所に散らばり始めた。そして、ベース付近に直径4mほどの白線を書き、円状をグルグルと回り始めたのだ。

「山梨学院さんに遠征に行ったとき、吉田洸二監督(過去には長崎県立清峰高校で、甲子園に春夏通算5回出場、選抜甲子園優勝1回・準優勝1回の実績)に教わった練習方法です。ベースランニングはいかにコーナーでの加速が出せるかがカギです。理想の(体を内側に傾ける)角度は45度。加速をする姿勢や、角度を覚えるのに最適な練習ですね」。



確かに50人以上の選手が通常通り、内野を一周するベースランニングと違い、一瞬の動きを覚えるためには効率性がとても良い。さらに、バントという作戦が非常に多い高校野球において、ワンヒットで二塁に進めることがどれだけ重要かということを理解した上での練習ともいえる。

「バントで1アウトを献上し、二塁に進んでもワンヒットで本塁に帰れるかというと意外に確率は厳しい。本塁から二塁、一塁から三塁、二塁から本塁まで、ワンヒットで2つ先の塁を取る状況判断と加速を身につけなければ得点には繋がりません」。

キャッチボールは学年関係なく行う

春の大会が終わり、一区切りついたこともあり、Aチーム、Bチームと選手の実力で班分けをせずに練習を行う。とくにキャッチボールは上級生、下級生に関係なく、毎日違ったパートナーと組んでいる。

「どうしても気心の知れたチームメイトとキャッチボールしがちになりますが、勝手を知ってしまうことで楽な部分が生まれてしまうこともあります。日替わりでパートナーを変えることで、程よい緊張感を持つことができます」。

練習では選手同士が意見を出し合い、話し合う姿が多く見受けられた。強制された声出しはなく、時折笑顔も垣間見える。ナインの先輩には東京大学野球部で副主将を務める三鍋秀悟選手や、一橋大学野球部の副主将の加藤克拓選手、北海道大学野球部の副主将の吉川祐司選手など、大学野球で活躍する選手も多い。常に考えることを念頭に置き、自主性を大切にする練習は今後も多くの文武両道プレーヤーを育むことだろう。(取材・撮影:児島由亮)

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