学校・チーム

【共栄学園】原田健輔監督|きっかけは選手の拒否反応、見直した体作り

2024.5.17

強豪校を指導する監督に過去の失敗や後悔を現在の指導にどう生かしているかを聞く企画。
26歳の若さで共栄学園の監督に就任した原田健輔監督は、知識も経験もなかったことから失敗の連続だったということを前編では紹介した。後編ではそこからいかにして激戦区である東東京で甲子園出場を果たしたかについて聞いた。


部室も日陰もない河川敷のグラウンド

取材前編はこちら→

一方的な指導から選手に任せる部分を増やして2019年秋には都大会で準々決勝に進出した共栄学園。しかし翌年のコロナ禍で活動できなかった焦りなどから再び一方的な指導に戻り、また結果が出なくなったという。そこからチームが上向くきっかけとなったのは、またしても手痛い敗戦だった。

「2022年は夏に5回戦まで勝ち進んだんですけど、秋はブロック予選の初戦で負けて、都大会にも出ることができませんでした。この試合の時にちょっと選手たちが自分に対して拒否反応みたいなのが出ているなと思ったんですね。こっちが一方的にやらせて、それで結果が出ないんだから当然と言えば当然だと思います。そこでちょっとまたやり方を変えてみようと思って、外のグラウンドでやる練習を減らして、まずは体作りを見直そうと思いました。学校の食堂にもお願いして食事もしっかりとるようにして、トレーニングと外での練習を半々くらいにしたんですね。トレーニングは成果も見えやすいじゃないですか。体作りが進んだことで選手も自信を持ってできるようになりましたし、こちらからも押し付けるようなことはしなくていいんだなと改めて思いました」

時期にもよるが、トレーニングの時間とグラウンドでの練習が半々というのはかなり思い切った変更ではないだろうか。ただそれが上手くいった背景には、共栄学園のおかれている環境も密接に関係している。
学校は東京都葛飾区にあるものの、野球をできるようなグラウンドは一切なく、平日は自転車で30分かけて埼玉県三郷市の河川敷にある中学クラブチームのグラウンドへ移動して練習しているのだ。



ある程度の広さはあるものの、設備的にはかなり限られている。そのため、まずはトレーニングで土台となる部分に注力した方がパフォーマンス向上にも繋がったという面もあったはずである。このような環境での苦労を原田監督はこう話す。
「正直ないものだらけですよね。建物を置くことができない。高い防球ネットもない。風が強いんですけど、逃げる場所もない。日陰もない。電源もない。だからマシンや照明のために発電機は欠かせません。
室内練習場もないので、雨が降ったら練習もできないのでいつも天気予報を見ながらその日どうするかを決めています。雨の日が続くようであれば、民間の室内練習場を借りたりもします。このグラウンドを使わせてもらっているだけでもありがたいですけど、見学に来た選手はビックリしているかもしれませんね」


PICK UP!

新着情報