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【大宮東】冨士大和|一番下から這い上がる夏、プロ見据えるMAX144キロ左腕

2024.7.13

地区予選敗退からの巻き返しを狙う夏。184センチ78キロの恵まれた体格からサイドハンド気味に投げ込むMAX144キロの速球と巧みに操るチェンジアップ。プロも注目する大宮東の大型左腕、冨士大和投手にお話を聞きました。


球速よりもボールの回転を重視

――たいへん失礼ながら、練習試合を1回見ただけでは冨士投手について理解が追いつかず、練習にもお邪魔したうえでインタビューをさせていただきます。

どうもありがとうございます(笑)。

――冨士投手の大きな特徴は、その腕の振り。左腕がサイドハンドに近い角度から出てきます。高校2年時から見ている人によると、その角度がだんだん下がっているとも聞きました。自分自身ではどう感じていますか。

腕の角度は無意識に落ちています。たまに直そうとしていますが、落ち着くところが今の位置なので。リリースポイントは高すぎてもダメだし、低すぎてもダメ。日によっても微妙に違うので、毎日ちょうどいい位置に合わせて投げています。

――肩・ヒジの故障歴はありますか?

1回も痛めたことがありません。

――それは素晴らしいですね。冨士投手の体に合った投げ方ということなのでしょうね。

フォームを指導されたことは1回もありません。指導者の方々には感謝しています。

――変則的なフォームに見えますが、放たれるボールは捕手のミットを激しく叩く猛烈な球威を感じます。このギャップが、強豪打線からも三振を量産できる理由なのかなと感じますが、どうでしょうか。

球持ちがいいことと、ボールの出どころが見えづらいことはよく言われます。ストレートで空振りを取れることが一番の長所だと感じています。

――最速144キロとのことですが、数字以上の体感スピードと球威を感じます。

球速よりもボールの回転を重視しています。

――回転を確かめる方法はありますか?

ボールの音を聞くようにしています。キャッチボールやブルペンで「シューッ」という音が聞こえる時はいい証拠なので。キャッチャーにも「音鳴ってる?」と確かめることもあります。



――ブルペンでの投球練習を見ていると、ボールが抜けたり引っかけたりした直後に1球で修正してくるシーンが強く印象に残りました。あの修正力はどこからくるのでしょうか。

ボールが抜ける原因はリリースポイントがズレているか、重心が前に突っ込んでいるかなので。投げ終わってから反省して、考えを整理して次の球を投げています。

――それだけ自分の体やフォームの特性を理解しているということですね。お兄さんの冨士隼斗投手(日本通運)は右のパワーピッチャーでタイプは異なりますが、理論派のようですね。昨年、大学生のドラフト候補を取材していて、複数の投手が「冨士くんに投げ方を教わったら球が速くなった」と証言していました。お兄さんからアドバイスを受けることもあるのでしょうか?

兄は大学(平成国際大)でケガをした時に、体の使い方や練習法をたくさん調べていました。体をコントロールできるようになって今があると言っていて、兄からいろいろと教わっています。

――どんな点を学んだのですか?

「胸のしなりを使えていない」と教わりました。メディシンボールを使って胸郭を柔らかく、強く使えるトレーニングをするようになって、球持ちやしなりが出てきました。

――冨士投手はセットポジションに入る前に、両手を割って胸を開くようなルーティンがありますね。あれも胸郭を柔らかくするイメージでしょうか。

自分は少し猫背で、テークバックで肩が内側に入るクセがありました。それを直そうと思って、肩が内側に入らない意識づけとしてルーティンにしています。


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