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【中央学院】相馬幸樹監督|意識しすぎた強みとストロングポイント

2024.3.20

強豪校、名門校を率いる監督たちも、かつては手痛い失敗を経験し、後悔したことがありました。その失敗や後悔はその後の指導にどのように生かされたのでしょうか?2018年に春夏連続で甲子園初出場を果たし、今年春の選抜でも6年ぶりの出場を決めた中央学院の相馬幸樹監督に話を聞きました。(聞き手:西尾典文)


社会人野球で全く通用しなかった自分の力

現役時代は市立船橋で2年連続夏の甲子園に出場し、大阪体育大、シダックスでプレーした後はアメリカでトライアウトを受けた経験もある相馬監督。現役引退後は母校の大阪体育大の大学院でスポーツ心理学を学び、中央学院の監督に就任したのは2007年で、当時まだ28歳という若さだった。当時を振り返って相馬監督はこう話す。
「野球部で不祥事があって、そこからチームを立て直すことを求められて呼んでいただいたんですけど、最初の頃は本当に大変でした。学校や周囲からも野球部に対する嫌悪感みたいなものがありましたし、今みたいにスタッフも多くなくて、何でも自分でやらなければならないということもありました。
正直最初の5年間くらいはあまり記憶にないくらいです。ただ振り返ってみると、現役をあがったばかりでまだ体も動いたので、何でもやり過ぎていたとは思いますね。試合に負けたら帰って猛練習するとか。自分も監督として無理してキャラクターを作っていた部分もありました。当時の選手に今聞くと『なんであんなに怖かったんですか?』と言われますね(笑)」

ただ選手に対して厳しい練習を課していたのも闇雲に結果を求めていたからというわけではない。相馬監督自身の後悔がそうさせた部分もあったのだという。
「高校、大学の時は正直そこまで深く考えなくても力がついて、結果もついてきました。どちらかというといかにサボろうかと考えていた方でしたね。ただ社会人になって全く通用しなくて、その時に自分の持っている力を出そうということばかり考えて、その力自体を上げようという発想ができなかったんですね。
もう少しそういう気持ちで早くから取り組んでいて、レベルアップしようとしていたらもっとできたのかなという思いはあります。だから選手たちにはそういう思いをしてほしくないというのはありますし、それは今でも話しています。ただ昔はそれを何でも押し付けてやりすぎていたのかなというのはありますね。スポーツ心理学も学んで、いかに選手自身のやる気を邪魔しないことが大事とは感じていたのですが、今思えば最初はそれができていなかったですね」

シダックスでのプレーは2年間だったが、当時チームを指揮していたのは野村克也監督で、その影響も強く受けたという相馬監督。今でもあらゆる資料を使ってミーティングなども行っているというが、チーム作りという点でも以前は失敗だと感じていることがあるという。
「今思い返してみると、チームの強みとストロングポイントを意識し過ぎていたと思いますね。例えば力のある投手がいる時は守り勝とうとか、打てる選手がいる時は打ち勝とうとか、そういうのを出そうとして結局上手くいかなかったことがありました。色々やってみても、やっぱり全体のバランスが大事だと思いますね。
野球って色んなプレーがあるので、どこかだけが尖っているよりも、それぞれをしっかりできた方が勝つ確率も高くなるんだなと。上手くできているなと思いました。だから今は強みは出しながらも、バランス良くレベルアップしていくというのは考えています」
今年のチームも力のある投手を複数揃えているものの、決して守り勝つというスタイルだけでなく、打撃や走塁などにも力を入れており得点力も高い。また取材当日は選抜に向けて仕上げていく時期だったということもあるが、守備に就いても走者をつけて実戦的なプレーの練習に取り組んでいた。


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