我慢と試行錯誤の繰り返し
選手が自主性、主体性を持って取り組む。最近の高校野球ではよく聞くキーワードであり、田中監督の目指す方向性もそう見える。しかし何もない状態でそれを求めるのは違うのではないかと田中監督が話す。「最終的には『選手が主体性を持って取り組むんだよ』という話もしますが、それを求めるだけではなかなか上手くはいきません。
与えられたレールの上だけでやっていたので、そもそも自分で何かを調べたりという発想もないし、僕に聞きにくることも最初はできませんでした。こちらも雰囲気で分かるので『あ、困っていて何か聞こうとしてるな。でも先のことを考えるとこちらから声をかけずに我慢した方がいいのかな』という試行錯誤の繰り返しです。
1から10まで全てをこちらから伝えてもダメですし、何も伝えないのも当然ダメです。どのタイミングでどの程度何を伝えるか。そんなことを常に考えながらやっているという感じですね」
この日の練習でも選手に任せている時間も長かったが、場面によっては個別に話をしているケースも見られた。ただ選手からは指示を待っているだけという様子は感じられず、まだ監督就任から1年でも徐々にチームが変わっていることは間違いないだろう。
次回は田中監督自身の経験から指導に生かしていることなどを紹介する。
(取材・文・写真:西尾典文)
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