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【高校球児のための大学野球部ガイド】東京学芸大学を紹介!

2019.4.1

国立大学でありながら、東京新大学野球連盟において過去18回の優勝を誇る東京学芸大。日本ハムの栗山英樹監督、ベイスターズでリリーフとして活躍した加藤武治選手は同校のOBであり、社会人野球や高校野球の指導者にも多く人材を輩出している。近年は創価大を筆頭として私立大の後塵を拝するようになり苦しい戦いが続いていたが、昨年秋に二部リーグで優勝し、見事に8季ぶりの一部復帰を果たした。そんな捲土重来を目指す東京学芸大野球部を取材した。


2016年春からチームを指導しているのが中野春樹監督。1995年夏には越谷西を夏の甲子園出場に導き、その後赴任した春日部東でも関東大会出場を果たすなど、埼玉県内では有名な指導者である。そんな中野監督に、まずは大学野球と高校野球の違いについて聞いた。



「高校野球の場合はどうしても監督主導になります。割合で言うと監督8割、選手2割くらいでしょうか。一方で大学野球の場合は学生が主導で考えて行う部分が多い。あらゆる係が存在して、それぞれの役割ごとにチーフがいて、練習メニューも彼らが主体となって決めています。最終的なメンバーはこちらが決めますが、技術的な指導も基本的にはアドバイス程度。割合で言うと監督と選手が5割ずつというイメージですね」



高校は指導者主体で大学では学生が主体。他の大学でもよく言われることであるが、それだけで勝てるほど簡単な大学野球ではない。また、東京学芸大も以前は推薦入試によって入部してくる選手もいたが、現在は全員が一般入試で入部してきている選手達だという。そんな中で一部復帰を果たせた理由はどのようなところにあるのだろうか。
「以前はどうしても推薦で入ってきたような勝ちたい選手と、とにかく野球ができればいいというような選手の意識の差があったように思います。この3年間でそういう意識の差はだいぶなくなって、全員が頑張れば試合に出て活躍できるという競争意識が生まれてきたことが大きいと思いますね。ただ全体の3分の1は浪人しての入学ですし、高校時代に実績のある選手も少ない。入学してきたときは活躍しても、上級生になって落ちる選手も意外に多い。高校時代の貯金に頼っているケースですね。そういうことが極力ないように、全員が上のレベルを目指してやろうという意識を持つことが重要だと思います。あとはなるべく選手自身が気づくこと。こちらは言いたいことを我慢して、なるべく見ることに努めるようにしています」



選手の意識の変化は行動にも表れたという。一部のメンバーが一昨年に国立大学ながら大学選手権に出場した和歌山大の練習に参加。また、チームのプラスになることであれば、どんどん外部も招聘し、練習を見てもらう機会を作っているという。
また、教員養成がメインである東京学芸大として、下の年代との接触も積極的に行っているという。その効果を中野監督はこのように話した。
「高校生とは合同練習、中学生に対しては野球教室というような形で積極的にかかわるようにしています。これは学芸大の持っている使命なのですけど、選手にとってもプラスだと思うんですよね。『教えることは学ぶこと』ですから、自分の練習ではなくても決して無駄な時間ではなく良い経験だと思います。何かを教えようとすれば自分が学ばないといけませんから」



長く高校野球を指導してきた中野監督に、高校球児に対して大学野球を続けるための意義などについても聞いた。
「高校野球に比べて大学野球は圧倒的に情報が少ないので、まずはしっかり情報収集して自分に合った大学、チームを選ぶことが大切だと思います。練習会を行っている大学も多いですから参加してみるのもいいですね。あとは大学野球のハードルが高いと思わないでもらいたいですね。東京六大学、東都大学以外にも色んなチームがあります。うちの大学も学業が最優先で、無理のない範囲内で真剣に取り組むことができます。また一部の強いチームでも寮もキャンプもなくて、アルバイトをしながらできるチームもあります。野球を続けたい気持ちが少しでもあるなら、先入観にとらわれずに色々と調べて、自分のやりたい環境を見つけるところからスタートしてほしいですね」(取材:西尾典文/写真:編集部)



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