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【高校球児のための大学野球部ガイド】桐蔭横浜大学を紹介(後篇)

2017.7.25

桐蔭横浜大学の選手チーフの皆さん

2006年の創部ながら過去10年間では神奈川リーグでもナンバーワンの実績を残している桐蔭横浜大学。前編は齊藤監督の指導方針、高校球児へのアドバイスなどをお送りしましたが、後篇では実際にプレーする選手にも話を伺いました。


桐蔭横浜大の練習は投手、捕手、内野手、外野手、バッティング、バント、走塁の7部門にそれぞれ設置したチーフの選手が中心となって決めている。チーフからの提案に対して齊藤博久監督は決して否定をせず、選手に考えさせることを重視しているのは前編でも触れた。そしてこの日はバッティング、走塁、内野手、バントの4人のチーフに練習をどのようにして決めているかだけではなく、桐蔭横浜大を決めた理由、高校との違い、現役高校球児に向けてのメッセージなども含めて話を聞いた。

大学野球の良いところは
自分で考えて技術を伸ばすことができるところ

高橋塁(4年)主将/打撃チーフ 桐蔭学園出身

高橋塁 選手(4年)主将・バッティングチーフ

「自分は中学も高校も桐蔭学園で、高校時代もキャプテンでした。最初は他の大学に行くことも考えていたのですがなかなか決まらず、齊藤監督からも声をかけていただいたのでそのまま進学しました。野球部の雰囲気はなんとなく分かっていましたが、入ってみて改めて選手が自主的にやっているんだなと思いました。上下関係も挨拶をしっかりやるくらいでほとんどありません

キャプテンとしては部員も多いのでコミュニケーションを多くとるように心がけています。今の時期は秋のリーグ戦まで期間もあるので、強化をする期間ということで打つ数、バットを振る数を多くしています。普段の練習は週に6日間で1日は休みがあります。あとは春、秋のリーグ戦後に1週間と年末年始の2週間がオフです。

高校時代との一番の違いは自分の時間があることです。2年の時からアルバイトで桐蔭学園中の野球部に指導しているのですが、その経験もあって卒業後は教員を目指すことにしました。大学野球の良いところは、自分で考えて技術を伸ばすことができるところだと思います」

話を聞かせてくれた高橋塁 選手

多くの球児に大学でも野球を続けてもらいたい

本夛陸(4年)走塁チーフ 相洋出身

本夛陸 選手(4年)走塁チーフ

「自分の高校の一つ先輩が桐蔭横浜大に来ていて、全国にも出ているし、いいチームだという話を聞いて決めました。
高校の時に比べて練習時間は短いですが、集中して狙いを決めてやるので効果は高いと思います
自分より足が速い選手はいますが、下級生の時から走塁のことを進言したりしていたので(走塁チーフに)選ばれたのだと思います。

この時期は走塁だけの練習をする時間は多くないですが、アップの時から実戦を意識したランニングをするようにしています。あと、普段から少しの時間でもいいからどんな走塁をすればいいかイメージするように言っていますね。全国で高いレベルの投手から点をとるためにも走塁(技術)は必要不可欠だと思います。

自分は小田原の自宅から通っていて遠いのでアルバイトはしていないのですが、今は授業もほとんどないので午後はジムに通ったり自分の母校に練習しに行ったりしています

自分は高校でも実績がなくて強豪出身でもないので最初は通用しないと思ったのですが、いざ一緒にやってみるとそこまで大きな差はないと感じました。大学でしっかりやればチャンスもありますし、野球の技術だけじゃなくて人間性も磨かれると思うので多くの高校球児に大学でも続けてもらいたいです」

話を聞かせてくれた本夛陸 選手

大学では自分で考えてやることが多い

武住健太郎(4年)内野手チーフ 日南学園出身

武住健太郎 選手(4年)内野手チーフ 日南学園出身「自分は中学も高校も宮崎だったのですが、大学はレベルの高い関東でやりたいと高校の監督に相談して、桐蔭横浜を紹介してもらいました。どんなチームかは正直知らなかったのですが、入ってみてレベルが高いと思いましたし、練習も量より質を重視していて、一球に対する意識が本当に高いと思いました。全体練習の時間は短いですが、各自がそれぞれ課題を持って空いている時間を有効に使っていることが結果に繋がっているのだと思います。

自分が担当している内野守備で特に気をつけているのは『足と声』です。まずボールは足を動かして捕りにいく。そして他の選手の動きも気にかけてしっかり声をかけるということを大事にしています。

自分は寮に入っていますが、高校の時の寮とは全然違って自由な時間が多くて、近くのラーメン屋でアルバイトもしています。大学では自分で考えてやることが多いと思うので、やり方次第で伸びることも多いと思います。野球が本当に好きなら大学でも続けてもらいたいです」

話を聞かせてくれた武住健太郎 選手

やらされるのではなく自分でいかにやるか

原大典(3年)バントチーフ 桐蔭学園出身

原大典 選手(3年)バントチーフ

「元々は東京六大学に行きたかったのですが、高校時代に結果を残せなかったということと、普段から桐蔭横浜の練習を近くで見ていて惹かれるところもあって、大学も桐蔭でやることに決めました。
実際に入ってみて感じたのは凄く頭を使っているということです。一軍を決める時もプレー以外でチームにプラスになる選手を選んでいることもあります
バントは正直自分が上手いわけではないですが、元気とか存在感を評価して選んでもらったと思います。各チーフで3年生は自分一人だけですが、発言しづらいということもありません。

自分は鎌倉の自宅から通っているので、朝は4時半起きですがもう慣れました。うちの大学は特にそうですが、練習をやらされるのではなくて、自分でいかにやるかが大事だと思います。あとは、時間がある分、色んな世界も広がりますし、その分、自分自身も成長させなくてはいけないと思っています。野球以外の成長という意味でも大学で続けて良かったと思っています」

話を聞かせてくれた原大典選手

 四人とも口を揃えて言っていたことは「高校よりも自由な時間が長い」ということと、「自分次第で野球も人間的にも成長できる」ということ。その話しぶりからも桐蔭横浜大を選んだことがプラスだったということがよく感じられた。

 齊藤監督も「大学を卒業してからが本当の勝負」であり、そのために「自分を成長させるために野球をしている」ということを常々話しているという。選手達の自主性に任せながら学生としての時間もとることができ、そして結果もしっかり残す。それを実践している桐蔭横浜大は大学野球の一つの理想形であることは間違いないだろう。

(取材・撮影:西尾典文、編集部)

■チームデータ

所属リーグ:神奈川大学野球連盟
創部:2006年部員数:180人
優勝回数:10回
2017年春季リーグ戦成績:優勝
入部方法:セレクションを実施
練習日:週6日
練習時間:8時〜12時
オフ期間:春、秋のリーグ戦後と年末年始

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