眠らせていた潜在能力が誉で開花

今年のチームにはドラフト候補に挙がるイヒネ・イツアや高校通算50本塁打近いスラッガーの間井蒼生といった有望選手がいる。だが、イヒネは中学時代、試合に出たり出なかったりの存在。間井にしても、矢幡監督が「体が大きかったくらいで優れていたわけではない」と語るように目立つ存在ではなかった。眠らせていた潜在能力が誉で開花し、高校野球で戦えるようになっていく。矢幡監督は選手にこんな発破をかけているそうだ。
「2年で四強のフィジカルを超えて、大阪桐蔭に追いつこう!」
そんな矢幡監督には、「町の電器屋さん」という本業がある。夫人の実家の家電販売店を継ぎ、野球部の指導と両立しているのだ。もともとは学校に出入りする業者だったが、社会人・阿部企業などでプレーしたキャリアを買われて誉野球部を指導するようになった。
「お客さんからも『今年のチームはどうなの?』と聞かれて会話のネタになりますし、農家のお客さんが桃を何箱も差し入れてくださって、みなさん知ってくださっているのでありがたいですね」
夏場はクーラーの需要が増して大忙しだが、練習の前後に仕事を入れるなどして対処しているという。
今夏の誉は初戦から中部大一と対戦し、シード校の西尾東や四強の一角・中京大中京と同一ブロックという激戦を戦わなければならない。それでも高校3年間で体を変え、自信をつけてきた誉の選手たちは、3年前の下剋上を再現しようと前を見つめている。
(取材・文:菊地高弘/写真:編集部)
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