「休ませる時は休ませる」夏前に重視するコンディショニング
今回の取材は夏の大会開幕を約3週間後に控えた梅雨真っただ中の6月中旬に行なわれた。現チーム最大の売りと言っていい投手陣は、シート打撃に登板して打者を相手に全球種を用いての実戦練習を繰り返していた。聖心ウルスラ学園では、年間を通して週前半(月〜水)に基礎練習や個人練習を行ない、後半(木・金)でゲームノックやシート打撃といった実戦練習を組んでいる。投手であれば週前半にブルペンに入り、週後半に向けての投げ込みで調整を行なうという流れだ。
「もちろん夏の2週間を乗り切るための体力作りや投げ込みは行なっているのですが、その反面、休む時は肩も体も休ませます。体が悲鳴を上げないように、思い切って3日間ノースローでいくとか。疲れを残した状態で大会に入らないように、余力を残して入っていかせるイメージを持ってやっています。もちろんやるべきことはやらせますが、休ませる時は休ませる。休みをどのタイミングでどの程度取らせるか。現段階(6月)ではその思いの方が強いかもしれません」(小田原監督)。
とは言いつつ、6月の練習試合では土日に続けて完投させることもある。夏の準決勝、決勝に向けた準備にも抜かりはないが、いったん「この週はしっかり休ませよう」と割り切った時には、週末の2日間で2、3イニングという使い方もする。一定の登板間隔というよりもリズムを変えながら登板機会を与えていくのが小田原監督の手法である。高校野球のトーナメントの場合、確実に中1週間で回ってくる大会ではない。中3日もあれば連戦になることだってある。ましてや梅雨が明けていない夏の大会ともなれば、より変則的なスケジュールを強いられることも少なくはない。このあたりを想定して、同じ流れ、リズムで休養を挟むのではなく「投げる・投げない」のメリハリを重視して、どんな状況でも試合で合わせていけるように調整していくことが求められると小田原監督は言う。
さらに夏を目の前にしてもっとも注意を払わないといけないのが、選手に対する声掛けだという。調子が上がらず試合で結果が出ない時は、次の試合までの間隔を考える必要がある。次の公式戦まで1か月以上の猶予があれば、しっかりと注意し、時間をかけて指導、指摘をしてわからせることも可能だが、夏が近い今頃のタイミングになってくると、あまりマイナスイメージを植え付けたくはない。
「簡単な言葉でサラッと流して、次の試合で良かったところを見てあげる。いわゆる“どんまい”的なフォローですよね。このタイミングで底に落ちてしまうと這いあがれなくなっちゃうので」
と小田原監督が言うように、最大級のプレッシャーがかかる夏を前に極力負荷をかけさせないことが大事だという。(取材・撮影:加来慶祐)
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