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【明豊】川崎監督が辿り着いた「全国で戦える打力」を生むティーバッティング(前篇)

2017.9.21

ティーバッティングに取り組む明豊高校野球部の部員たち


甲子園でインパクトを残した高い攻撃力
それを支えた7種類のティーバッティング

「まったく無意識のうちに意識していたのかもしれないなぁ。160キロの投手がいて1-0で勝つというよりも、10-8で打ち勝つチームの中で僕もやっていたので」

明豊高校野球部を率いこの夏の甲子園でベスト8進出を果たした川崎絢平監督

そう語るのは明豊高校野球部を率い、今夏の甲子園で劇的な粘りを発揮してチームを8年ぶりのベスト8へ導いた35歳の指揮官、川崎絢平監督。

川崎監督は智弁和歌山出身で、1年時には夏の全国制覇を経験(1997年)。高校野球史上でも屈指の破壊力を誇るチームで育っているだけに、強打型のチーム作りというものが潜在的に刷り込まれていたのかもしれない。

この夏の明豊は大分大会で平均10.6点を記録した。これは今夏の甲子園出場校の中では最高の成績で、本塁打9本も横浜の14本、盛岡大付の10本に次ぐ第3位。チーム打率も.423という高い数字を残している。甲子園でも3試合で平均8.3点。2年生スラッガー浜田大貴の2試合連続を含む計3本塁打と、大分大会での打棒が決して勢いだけではなかったことを証明したのだった。

川崎監督は2012年の就任以来「守り優先」のチーム作りを行なってきた。新チームの起ち上げと同時にまずは守れる選手をポジションにはめていき、後から打力の肉付けを行なうというのが近年の明豊スタイルでもあった。しかし、2015年夏の甲子園初戦で仙台育英に1-12という惨敗を喫して以降は、「全国レベルで戦えるだけの打力」を筋力トレーニングと徹底した打撃練習で磨き続けたのである。その成果が今年の7、8月に大きな結果となって実を結んだというわけだ。

甲子園で全国に強烈なインパクトを残した明豊の打撃力について、甲子園期間中に主将の三村鷹人があるヒントを残してくれた。

「何種類ものティーバッティングを冬から続けた成果だと思います」

明豊が昨冬から取り入れたティー打撃にはノーマル・逆手・スクワット・横トス・高め・バスター・早打ちの7種類がある。これらは川崎監督が専修大の斎藤正直監督が行なうティーバッティングからヒントを得て、高校生向きにアレンジして組み上げたものだ。

その中でもとくに効果を発揮したのが「スクワット」、「横トス」の2種類のティーバッティング。それぞれの練習方法と効果を川崎監督はこう語る。

「以前は上半身主導で打つ選手が多かったのですが、スクワットを行なうことで下半身を使って打つことを覚えた選手も多いですね。というのもきっかけは至って単純な動機といいますか、スクワットをすればまず膝を落として、立ち上がり、そこからタイミングを取って打ちにいく。

よく『下半身で打て』とは言いますが、高校生に『下半身を意識しろ』と言ってもなかなかしっくりは来ないはずです。普通はどうしても上をいじりたがるものなので、スクワットを行なうことによって初めて打撃の始動が下から始まるという感覚を掴めるのではないかと思いました。

これを続けていけば、下半身主導のイメージが自然と備わりますよ。タイミングを取るのも下、反動を付けるのも下。上で反動を付けると打撃そのものが壊れてしまいますからね」

両足スクワットをした後、そのまま両足を着いて始動するわけではない。スクワットして立ち上がった時に打者は軸足でだけ立ち、そこから割れの状態を作りながらスイングしていく。注意すべきは、決して両足スクワットになってはいけないということだ。(取材・撮影:加来慶祐)

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