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【明豊】川崎監督が辿り着いた「全国で戦える打力」を生むティーバッティング(後篇)

2017.9.22

7種類のティーバッティングに取組んでいる明豊高校野球部の選手たち

前篇では数種類のティーバッティングの中から「スクワット」についての練習法と効果を川崎絢平監督に解説して頂いた。後篇では「横トス」の練習法と効果について、引き続き川崎監督の解説を交えて紹介する。


「横トス」についてはどうか。じつはこれこそ今夏の明豊打線の根幹を作り上げたティーバッティングなのではないだろうか。

「真横からくるボールを打つことによって、ポイントを後ろに置くイメージを強くさせました。追い込まれた状況だったり、低めのボールを見極めたい場面で、無理に引っ張りに行くのではなく、内から払っていけるようになりました。

そういう意味では横からのティーは効果的だと思います。前から来たゆっくり目のボールはみんな楽に打ってしまうので、横から来たボールに対して体が前に突っ込まないように、窮屈なところでガツンと打つ。これを繰り返すことによって、各打者とも顔がしっかりと残るようになりました」

▼真横からトスするティーバッティング

その結果、明豊の打者はボールを長く見ることを恐れなくなった。それが甲子園でも終盤に見られた「ボール球の見極め」に繋がったのだ。神村学園戦の延長12回サヨナラの場面、さらに天理戦の10点ビハインドから追い上げた場面。土壇場で効果を発揮したのは、ボールを振らずに四球で走者を溜める「選球眼」だった。それは今夏明豊の「代名詞」とも言うべき大きな武器となり、ビッグイニングを生む要因にもなったのだ。

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「ティーをやることでスイングスピードも付いたし、何よりも同じティーをずっとやっていても面白くないですよね。いろんなパターンを取り入れることによって、いちいち頭の中をリセットすることもできるので集中力が保てるんです。そして気づいたら量もこなしている。

同じ500球を同じ形で振るよりも、いろんな種類を少しずつやる。もちろん種類ごとに意識すべきことは伝えないといけませんが、集中力を持って練習するならこのやり方もひとつの方法かなと思います」

▼逆手で行うティーバッティング

当初は冬期間だけのメニューと想定していたが、春の対外試合解禁後に思いのほかの成果となって表れた。普段はフリーバッティング前などに各自が各種類の中から必要と感じたティーバッティングを選択し取り組んでいるが、週に1回は必ず「形を見直す」という意味も込めて、全員で7種類のティーバッティングに取り組む。

単に長打力だけを生むのがティーバッティングではない。甲子園で新しい「明豊スタイル」として結果が出たことにより、川崎監督も「今後はオールシーズンで取り組むことになる」と言っている。

今年の明豊は「強力打線を生むのはティーバッティング」という説を打ち立てた。幾通りもの種類をこなしても、意味を見出せなければ効果はない。重要なのは、それぞれのティーバッティングに目的を持つことだ。(取材・撮影:加来慶祐)

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