学校・チーム

【秀岳館】強豪校に成長したチームに息づく鍛冶舎イズム

2017.11.7

今春センバツまで、3季連続の全国4強を果たした秀岳館。チームを全国強豪校へと導いた鍛冶舎巧監督が今夏の甲子園2回戦敗退を最後に退任。新チームは秋の熊本大会でベスト4に進出し、九州学院に延長の末、惜敗した。現在は、3年連続甲子園出場がかかる来年夏を目指し、もう一度、原点に返ってパワー強化に取り組んでいる。特に、全国で打ち負けない打撃づくり。マシン7台を所有し、5カ所バッティングで打撃強化する姿勢は前チームから引き継がれている。

恐怖の777階段が、強靭な「お尻」を作る!

雨でウエートトレ中心の練習メニューだったこの日。秀岳館伝統の下半身トレが行われた。その名も「777段上り」。八代市の学校から5kmランニングした場所にある東片自然公園は、「777段」の石段がある名所だ。頂上に上ると八代海や天草半島までが眺望できる展望所だが、選手たちには「心臓破りの階段」と恐れられる過酷なトレーニングコースになっている。ゆっくり上るだけでも息が切れる長い階段を、選手たちはたくましく駆け上っていく。「本当にキツイんですよ。夏場はもう、本当に…。でも、この練習をすると、田浦さんや川端さんのような、プリッと引き上がったお尻ができあがるんですよ」と選手が教えてくれた。年間を通して週1回、通常メニューとして練習に取り入れているそうだ。

秀岳館伝統の下半身トレその名も「777段上り」

ウォーキング中の地元ファンに励まされながら、エース山下竜哉投手も息を切らして階段を上る。

100人中94人が寮生活。「ミニカレー」が食トレアイテム

全国制覇を目指すための練習を常に意識している秀岳館。野球部員100人(3学年)中、94人が寮生活をしており、朝・昼・晩、栄養バランスのとれた食生活を送っている。

鍛冶舎前監督時代は、1日6食の食トレが話題となったが、新チームでは選手個々の自主性に任せている。その中で「食が進むお助けアイテム」となっているのが、八代市内の弁当店で購入する、週3〜4回の「ミニカレー」だ。選手たちは食堂のメニューにプラスして、カップに入ったカレーを平らげる。選手に聞くと「ご飯をたくさん食べたい日、おかずが足りない日はカレーが活躍しています!」(森田瑠選手・2年)。

1食の目安はご飯800gというが、カレーによってプラス100g、200gと食べられるそうだ。森田選手は入学時の73kgから、最大86kgまで体重が増えたという。食堂では学年関係なく、和気あいあいと食事をする光景が印象的だった。

もう一度、聖地へーー。橋口主将が仲間を鼓舞

甲子園で勝つには打撃力がなければいけない。鍛冶舎前監督から、そのことを徹底的に教え込まれてきた選手たち。今年のチームは昨年以上に振れる選手が多く、最近の練習試合5試合中4試合が2ケタ安打を放っている。取材2日前は、九州大会出場の鹿児島実に2ケタ得点で2連勝し、自信を深めていた。

特に潜在能力が高いのが1番平山陸登選手(2年)、4番橋口将崇選手(2年)、5番山下竜哉選手(2年)だ。2ストライクに追い込まれた後、ノーステップ打法に切り替える打撃は旧チームから継承し、相手投手にプレッシャーをかける。その一方で、チームの課題となっているのがエース山下を含む、投手陣の底上げだ。5人の右投手がおり、この中からレギュラー争いを勝ち取る投手の出現を待っている。

鍛冶舎監督が退任し、喪失感の中から再スタートを切った選手たちだったが、仲間を鼓舞し、先頭に立って盛り上げてきた橋口主将は「監督が代わっても練習メニューは変わっていなくて、今も引き継がれています。最近、選手の打球の飛距離がすごく伸びてきたので、試合をするのが楽しみなんですよ」と明るい顔で話す。そして「鍛冶舎監督に2年間教わってきたことは選手たちの身についているので、忘れずに練習していき次の夏こそ全国制覇をしたいです」と来夏に向けて力強く宣言してくれた。選手の中に息づく鍛冶舎イズム。秀岳館の新しい伝統は、自分たちの色で染め上げていくつもりだ。

「1年生がものすごくかわいく感じます。こいつらとまた甲子園に行きたいですね」と話す橋口主将
「1年生がものすごくかわいく感じます。こいつらとまた甲子園に行きたいですね」と話す橋口主将(写真手前)

(取材・文/樫本ゆき・取材日1016)

◆秀岳館野球部

1923年(大正12)創立。1956年(昭和31)創部。甲子園出場4回(春3、夏3)。部員数=2年31人、1年41人。女子マネージャー=1人。11月より久木田拡吉監督(52)、山口幸七部長(33)。部のモットー=選手による「自主・自立・自治」。主なOB=九鬼隆平(ソフトバンク)、松中信彦(元ソフトバンク)ほか。所在地=熊本県八代市興国町1-5

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