学校・チーム

【仙台育英】監督を小説家、自分を編集者に例える「新部長」

2022.6.17

一瞬一瞬の判断力を磨く

就任して1カ月半、毎朝7時にはグラウンドに出て、自主練習をサポートする。硬球のノックにも、少しずつ慣れてきた。時間を見つけては、積極的に選手とコミュニケーションを取る。
「野球の話から、生まれ育ったふるさとの話まで、いろいろな話を聞いています。仙台育英の選手は、聴く耳があるうえに自己表現ができる。心根が良い。感心するほどです」

チームの目標は東北勢初の日本一。トイレには、大阪桐蔭がセンバツを制したときの新聞記事が貼ってあった。もっとも強く意識する相手である。
「中学では本気で日本一を目指していましたが、高校ではまだ日本一がどういうものなのか明確にイメージできていません。大阪桐蔭の野球を間近で見ていませんから。ただ、ひとつ言えることは、ゲームの中での瞬間的な判断が勝敗に関わるということ。バッティングで言えば、どんな球を狙うべきなのか。相手の状況を見ながら、的確な判断をして、最善の選択をしていく。こうした考え方を磨いていくことが、日本一に近づくためには必要だと思っています」

須江監督の考えとも一致しているところだ。フィジカルや能力だけでは、頂点は獲れない。

ひとつだけ、須江監督に提案したこともある。投手陣の走る量を少し増やしてみたらどうだろうか、と。仙台育英の練習には「走り込み」が存在しないが、「走ることは、自分ではどうしても避けがちな練習です。そういう練習を積み重ねることは、ピンチでの踏ん張りや粘り強さにつながっていくと考えています」と、その重要性を説く。

今年で61歳。新たなチャレンジの場として選んだ仙台育英で、悲願の日本一を果たすために、すべての時間と情熱を野球に注ぎこむ。(取材・文:大利実/写真:編集部)

関連記事



PICK UP!

新着情報