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【仙台育英】須江監督が掲げたオフのテーマは「デカく! 速く!」

2020.1.6

東北大会で3年ぶり10度目の優勝を果たした仙台育英。夏全国8強を経験した6人が残る布陣で、4試合連続2ケタ安打を記録しました。強力打線に支えられ、夏メンバー外だった左腕・向坂優太郎投手(2年)が台頭。笹倉世凪投手、伊藤樹投手の1年生投手コンビも健在で、投打に安定した実力を見せた秋の戦いでした。センバツ出場が有力視される仙台育英。この冬のテーマを須江航監督に伺いました。


春12回、夏27回の甲子園出場を誇る東北地区の雄・仙台育英。今年の夏は甲子園で8強入り、茨城国体でも4強入りを果たし「東北勢初の全国制覇」の期待がかかる強豪校の一つだ。甲子園では2001年春、2015年夏に準優勝。2012、2014年に神宮大会優勝を果たしており、近年は安定した強さを見せ続けている。

野球部のグラウンドは仙台校舎(本校)から電車で約20分の多賀城校舎の敷地内にある。「なかなかスタンドインできない」と言われる両翼100m、中堅120mの広さを持つ全面人工芝の野球場(通称:真勝園)で、東日本大震災被災後の2013年に完成された。隣接する室内練習場はマシン3カ所、ティー打撃ができる十分な広さを持ち、朝6時から自主練習をしている選手も多くいる。卒業生の上林誠知(ソフトバンク)、熊谷敬宥(阪神)、平沢大河、西巻賢二(ともにロッテ)ら、数多くの選手がプロ野球で活躍している。

2018年1月。系統の秀光中等教育学校(以下秀光中)野球部の監督を10年以上務めたOBの須江航監督が仙台育英の監督に就任した。2014年全中で全国制覇を果たした経験をベースに、今の時代に合った高校野球の指導法を模索し、奮闘を続けている。秋の東北大会で優勝を修め、チームでは3年ぶり、自身では初となるセンバツ出場が確実視されている。

強打線のカギ。「始まりはいつも田中」

須江監督に今年のチームの特徴を聞いた。
「複数の甲子園を経験した下級生が残っているので、さまざまな試合展開に対して落ち着きがあります。この秋に関してはそれが非常に生きたなと思いました。ゲームの中で『あ、この子たち落ち着きがあるな』と感じたシーンが多々あったのです。具体的には中盤から終盤にかけての強さです。9イニングで勝ち切ればいいんだという落ち着きが見られました。終盤にひっくり返せる能力というのは、すごい有能な選手がいてもできないことかもしれない。いまのチームの特殊能力、大きな武器だと思いますね」



東北大会2回戦(明桜戦)は延長11回の粘り勝ち、決勝(鶴岡東戦)は8回裏の逆転勝ちだった。宮城県大会・準々決勝(東北戦)まで振り返れば、笹倉選手(1年)が9回裏にサヨナラ3ランを放ち試合を決めている。大舞台を経験した下級生選手たちの「経験力」が終盤の逆転劇につながった。そこにはもちろん、東北大会全4試合で2ケタ安打(計68安打)を記録した強打線があったからだろう。「全国大会でいろんなタイプのピッチャーと対戦したことが自信につながっている」と須江監督。打線のキーマンに2番を打つ主将の田中祥都(2年)を挙げた。
 
「長打のある4番入江(大樹=2年)に目が行きがちですが、試合を動かすきっかけを作っているのはすべて田中。冷静な観察眼があり、野球偏差値が非常に高い選手で、野球の強・弱・柔・剛の使い方が巧みです。ベンチでは『始まりはいつも田中』が合言葉になっています。能力以上のものを発揮する選手ですね」と信頼を置いている。


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