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【準硬式】教えて準硬式野球!日大の選手、コーチに聞きました!(後編)

2020.4.7
リーグ戦や全国大会は伝統もあり、形式も決まっているが、試合方式についても柔軟に考えられる点も硬式とは違いがあるそうです。


杉山「今年で始めて3年目になる新人戦に関しては我々連盟の理事が学生に自由にやっていいよという形で任せて、井上はその実行委員長なんですね。もちろん何でもOKではなくて、学生から上がってきた企画を確認はします」

井上「昨年までの二回の大会はトーナメント方式でしたが学生が取ったアンケートを見ると出場機会が少ないと言った声が多くありその声に応えようと実行委員同士で話し合いを重ね第3回大会は方針を変える方向です。12チームを4チーム×3グループに分けてリーグ戦をやれば、最低3試合はできるので今年からそうする予定です!」

杉山「スポンサー企業もついてもらっています。また、その企業の方がうちの練習を見た時にこれだけ部員が多くて、高校時代にもレギュラーじゃなかった選手がいる中で、試合に出られない選手が多いのはよくないんじゃないかという声もありましたね。6月にやるんですけど、入学したばかりの1年生にもチャンスを与えるという意味で良い機会だと思いますね」

井上「運営する側に回って大変なことが多いですが野球の技術では学べない多くのことを学ぶことができています」
お話を聞かせてくれた井上絢一朗選手(新3年・捕手・佐賀商)

ちなみに全日本大学準硬式野球連盟は硬式の大学野球連盟とは全く別組織であり、学生野球憲章の縛りを受けることもないそうです。プロ・アマの縛りもなく、現役のプロ野球選手や指導者が教えることもルール的には可能なんですね。
そんな環境だからこそできることを杉山コーチは考えて実際に実行しています。近年は東都大学準硬式野球連盟としてインドネシアに遠征して野球教室も実施。更に夢は膨らんでいるそうです。


杉山「今も全国の準硬式野球部の部員は約1万人いるんですね。結構な数ですけど、まだまだできることはありますし、常にやりたいことを考えています。今、全国大会は各地区で持ち回りなんですけどこれを甲子園でやれないかと思っているんですよ。それを連盟に提案しました。これが実現すれば高校で甲子園に出られなかった子たちの意識も準硬式に向く確率は上がりますからね。いつか実現させたいと思っています」


最後に硬式という選択肢もある中で、準硬式を選んで良かったこと、また準硬式野球部ならではの魅力について聞きました。


杉山「準硬式の場合、ほとんどの大学は監督、コーチはいても普段の練習は学生だけでやっています。そういう意味では学生が自分たちでチームを作り上げることができる部分が多いと思います。キャプテンが社長、副キャプテンが常務や専務、総務が経理みたいな感じで会社を経営するのと近いところはありますね。高校野球や環境が整っている硬式の大学野球では経験できない、自分たちで組織を作っていくことができる。
日大の場合は、そういう経験もしながら野球でも日本一を目指せるというのは大きいと思いますね。正直野球のプレー面で大きく変わることはないです。ただ今言ったようなことに魅力を感じられる学生はぜひ準硬式も考えてもらいたいですね」

井上「杉山さんの話にもありましたけど、監督、コーチに言われてやるのではなく、自分たちで考えてチームを作れる、その中で日本一を目指せるというのは大きいと思います。高校時代に目指して届かなかった全国大会、日本一を自分たちの力で叶える。それが今の目標ですね」


まだまだ一般的な認知は低い準硬式野球部ですが、二人の話からはそういう状況の中で何とか準硬式を広げようという強い意欲がヒシヒシと感じられました。二人のような指導者、部員が増えていけば大学で野球を続けようと考えている高校球児の選択肢として、準硬式が今よりもメジャーになる日も近いのではないでしょうか。
(取材・文:西尾典文/写真:編集部)


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