ノック、投内連係、シートバッティングは年中こなし、冬場でも実戦形式の練習は行っているがランニングメニューは少ない。
「昔はめちゃくちゃ走っていました。でも最近は走らせなくなりました。長い距離を走っていても、痩せていくだけだということが分かったので。耐久力はついても体力はつかないと思うんです。疲労を抜くための長い距離のジョギングや瞬発力を高めるために短い距離を走ることはあっても、やみくもに走らせることはなくなりました」(小牧監督)。
走るメニューは、200mや400mのタイム切りを冬場に週に何度かやる程度だ。体作りの基本はウエイトトレーニングやタイヤ引きだ。体育館にウエイトトレーニングができるスペースがあり、普段はバッティング組とトレーニング組を入れ替えながら練習している。
去年は古武術を取り入れるなど、毎年メニューに工夫を凝らすのは理由がある。「毎年入ってくる子のレベルや性格は違うので、その子たちに合ったものを毎年考えていかないといけない。毎年ウチはこれ、と決めたことをやるのではなく、こちらがやることを選択していかないといけないと思っています。例えば、現チームは体の硬い子が多いので、水泳やエアロビクスをやろうかと思っています」と今冬のメニューをすでに具体的に打ち出している。
ランニングメニューに続き、やらなくなったもうひとつの取り組みは食事の管理だ。練習が終わるのが夜になるため、選手らはお昼ご飯を食べに寮に戻った際に練習の合間に食べる補食を自分たちで準備している。しかし、「1日○グラム」と量を決めて管理することは止めたという。そのため、ある選手はご飯をタッパーに詰め込み、別の選手は手のひらにも乗り切れないほどの大きなおにぎりを手にするなど、食べる量は選手達に任されている。食べ残すこともなく自分で納得した量なので不公平さも生じない。
京都では上位に進出しているとはいえ、京都国際はあと1歩で甲子園出場の機会を逃し続けている。現チームにも釣寿生捕手や早真之介外野手など注目選手がおり、来夏も府内では注目チームのひとつとしてライバル校から警戒されるだろう。京都といえば龍谷大平安、福知山成美、京都外大西、今夏の京都代表となった立命館宇治などの古豪、強豪私学もいれば、鳥羽や乙訓などの公立校も勢いがある。その中で京都国際は、限られた環境の中で創意工夫を重ねて虎視眈々と悲願の頂点を狙っている。(文・写真:沢井史)
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