全国級の打線「打ち返す打力がなければ勝てない」
ここ数年、東邦打線は毎年全国トップクラスだ。昨秋の東海大会では3試合で25得点、打率は3割5分を超えた。さらに今秋の東海大会では3試合で27得点をたたき出し、打率は4割に迫った。前任の阪口慶三監督(現・大垣日大)が築き上げた伝統の守備力に、バトンを受けた森田監督が強打をプラスしたと言われる。森田監督のスタンス自体は守備へのウエートが高い。「攻撃力を優先しているわけではない。打つだけの選手を守備に目をつぶって使ったことはない。守備はうるさく言う。打撃はタイミングについてはやかましく言うけど、それ以外は『自分なりにさばき方を身につけろ』と言うぐらい」(森田監督)。投手を中心とした野球を軸とし、今秋の東海大会制覇の要因には強打者・石川昂弥(2年)が主戦投手として活躍したことを真っ先に挙げた。
それでもやはり、東邦打線の力強さは魅力だ。「攻撃力がないと上までいけないのは確か。いいピッチャーでも試合後半は疲れてくるもの。打ち返すだけの打力がないと勝てない」(森田監督)。
日々のフリー打撃やティー打撃でのスイング量は相当で、強く振る力や対応力、見極めはバッチリ。さらに実戦に向け、練習では「いろいろなタイプのピッチャー(味方の投手)をミックスで打つ」(森田監督)ことをしてきた。好投手対策も十分で、味方の打撃投手を1メートル半ほど短い距離で打ち込んだ。「いい投手と試合で当たっても、ナインは『練習でのチームメートの球と変わらない』と言っている。練習で最初は手こずっても、やっているうちに体感を通じて慣れてきて、試合でも対応できている」(同)。
東邦といえば、2016年夏の甲子園(八戸学院光星戦)や、昨年・今年の秋季東海大会準決勝などに代表されるミラクル逆転劇が有名。森田監督は「特別なことをしているわけではないが、何かあるんだろうね。先輩たちがああいうゲームをやって、伝統として伝わるし、自信になっているのでは。ビハインドでも受身にならず『なんとかできるぞ』という雰囲気がある。私も『相手を見上げたら負ける。見下ろしてやれ』と言っている」。そして「地力がないと(逆転劇は)できないことでもある」と力強く結んだ。(取材・写真:尾関雄一朗)
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